過去ログ - 漫(洋榎先輩の唐揚げにレモン掛けとこ)プシャァァァッ
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以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
[saga]
2014/01/13(月) 03:33:43.83 ID:SjU3OG/wo
漫 「っ!? あかんて絹ちゃんっ!」
洋榎の元へ駆け出そうとする絹恵にしがみ付き必死に押さえる漫。
絹恵が出て行った所で、状況が好転するとは考えられないからだ。
逆に今より事態が悪い方向へ進むのではないかと漫は恐れた。
黒服は生き残り確定者を直接的な方法≠ナ傷付ける事は出来ない。
だからと言って、自分達に逆らう者を放って置く筈も無いだろう。
反抗した場合、何らかの制裁措置を受ける可能性も捨て切れない。
漫 (洋榎先輩は何があろうと絹ちゃんが傷付く事は望まない……)
漫 (まして自分の為に危険を冒す事などあってはならんと……)
漫 (せやからうちは、洋榎先輩を見殺しにしてでも絹ちゃんを止める……!)
絹恵「放して! 放して漫ちゃんッ!」
絹恵は漫を振り払い、向き直って拳を高く振り上げ叫ぶ。
絹恵「こうなったんは全部漫ちゃんの所為や!」
絹恵「漫ちゃんがっ! 漫ちゃんがお姉ちゃんを生贄にするゆうから……っ!」
漫 「…………」
今にも殴り掛かってきそうな絹恵に対し、漫は静かにそっと瞳を閉じる。
それは絹恵の行為を真正面から全て受け止めるという意思の表れだった。
絹恵の愛する姉を生贄に選んだのは、他の誰でもなく、この私なのだ。
彼女には復讐する権利があるし、自分にはそれを受け入れる義務があると。
私を殴る事で少しでも彼女の気が晴れるのなら、思う存分やって欲しい。
そうされる事で自分自身の罪悪感もまた薄れるだろうと漫は考えていた。
絹恵「…………っ」
だが、絹恵はその拳を漫に打ち下ろす事は出来なかった。
何故なら、この怒りは無力で何も出来ない自分に対してのモノであり、
それを漫に八つ当たりしているだけだと、絹恵本人も自覚していたからだ。
洋榎の暴行によって出来た酷い青痣、腫れ上がった漫の顔。
傷付く事をも恐れず、自分を必死に守ろうとしてくれた親友。
そんな彼女を、どうして殴る事が出来ようか。
絹恵の大きな瞳から止め処無く溢れる涙。
振り上げた拳を下ろし、声を上げ泣き崩れた。
圧倒的力を以って強要される洋榎の死、抗えぬ運命……。
けれど、それを素直に受け入れる事など出来る筈がない。
だとすれば、残された道、今の2人が取るべき行動は最早1つしか無い。
誰に教わった訳でもなく、無意識のうちに彼女達はその答えを知っていた。
絹恵と漫は抱き締め合い、互いを支える様にしてその場に小さく蹲った。
目を瞑って聴覚を切り離し、隔絶された自分だけの世界に引き篭もる。
自己防衛本能、心が壊れてしまう前に、この辛い現実から逃避を図る2人。
極限状態だからこそ、その自己催眠は強烈に作用した。
思考を完全に放棄し、精神を無≠フ状態へと移行させる。
全ての感覚を閉ざした彼女達に、もう洋榎の悲鳴は届かない。
きっと洋榎もそれを望んでいたに違いない。
己の死に際など誰にも見られたくないだろう。
しかし恭子だけは、瞳を濡らしながらも洋榎の処刑から目を背けずにいた。
それは一番の親友である洋榎を救う事が出来なかった非力な自分への罰。
洋榎の処刑を直視しなければ、その罪から逃げた事になると恭子は思った。
恭子(どんなに惨い光景であろうとも、うちは絶対に洋榎から目を離さん……!)
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