過去ログ - モバP「ブリッツェンがいなくなった……」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2013/12/24(火) 00:09:08.73 ID:iGL7vRyq0

 まだ夕方というには少し早い時刻であったが、空はもったりとした雲に覆われ、首都の街並みは
どんより暗く見えた。そう間もないうちに雨、もしくは今年はじめての雪となるやもしれない。

 ぶ厚くたれ込め、ただでさえか弱い冬の陽光を閉ざす雲。白とも灰色ともつかぬ、ただただ色味に乏しい
曇天の空。

 それは、今の私の心持ちに似ている。


 私は今日、家出をしてきた。仕えるべき主のもとを飛び出してきてしまった。

 主はかねてから奔放というかマイペースというか、とにかく少々不思議なお方ではあった。従者たる私ごときが
言うべきことではなかろうが、これは主を知る人間の多くが認める事実であろう。

 それでも、私は主を好ましく思っていた。まだ年若い主は若干頼りなくもあり、それでいて前向きでたくましさも
併せ持つ、味わい深いお方なのである。

 主はいつでも私に愛情を持って接してくれた。どんな灼熱の土地で毛先まで干上がろうとも、またどんな極寒の大地に
四の脚が凍えようとも、主が労いの言葉とともに優しく背を撫でてくれるだけで癒やされたものだ。

 私は主の力になれている。私は必要とされている。これからも変わることなどない。
漫然とそう思っていた。


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