9:1 ◆Fcc.dS0wHg[saga]
2013/12/24(火) 09:10:24.87 ID:wOvnHE87o
「うん、別にいいよー。あ、メイクと着替えしてくるからちょっと待ってて」
「……メイクしてなかったんだ、ごめんねぇ」
細い呟きが聞こえた。私は応じない。と言うのも、私は既にドアを閉める動作にかかっていたのだ。無礼とはいえ、私とて病で臥るのは芳しくない。私はドアノブを引く。みるみる内に彼の顔は現実の光景から免れ、雪崩れ込んでいた冷気が遮断される。かくしてドアは再び私と彼との間に懸隔をもたらしたのだった。
仄暗い廊下を渡って、私は部屋へと戻った。私の視線は部屋を往復した後に、テーブルへとあった。卓上のマグカップの湯気は揺らめいて、あたかも烽火のように、その存在を再び私へと報せた。私はついにコーヒーを口に含んだ。
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