過去ログ - 一方通行「痴女ファッションと垣根帝督と俺」 -SS速報VIP

過去ログ - 一方通行「痴女ファッションと垣根帝督と俺」

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61: ◆wIGwbeMIJg[saga]
2013/12/28(土) 21:43:09.02 ID:eQRiTBN30
あの男は言った。言ってしまった。
知りたくなかった答えを。見ないふりをしておきたかった事実を。
思考してはいけない。反芻してはいけない。迅速に記憶から除去しなければ、自身の根幹たる何かが崩壊してしまう。
なのに。
なのに。
ナのに。
いくら消しても、それはどこからかまた沸き出してくる。
思考が赤に埋め尽くされる。
違う。違う。私は、違、

「いくら足掻こうが、抜け出せないんだ」

「あ、、？？？」

垣根帝督が立っている。
殺したはずの、垣根帝督が立っている。
もはやそれが幻覚なのか現実なのかすらよく分からなかった。よく分からないまま、もう一度殺した。笑ってしまうほど簡単にソレはものを言わなくなった。

視界の端にタクサンの垣根帝督が見えた。

「誰もが、人という枠組みからは逃れられない」

殺す。

「どこまで這い上がろうとも、人であるという現実は付き纏う」

殺す。

「逃げても無駄だ。逃げれば逃げるほど、嫌という程に見えてくる。己の全容が。人と同じ姿形をした自分自身が」

「…………………………」

いくら殺しても、殺しても、気付けばどこからか垣根帝督が現れる。
誰かがまた、後を引き継ぐように言葉を紡ぐ。
それが彼の言わんとするものの縮図に思えた。
どれだけ否定する理由を積み立てても、その全てが壊されていく。

これが真実。
逃れようのない運命。

「自覚したか？お前もまた、一人の人間に過ぎない事を」

「………その辺にしとけ。コイツ、泣いてンぞ」

「おっと。ついヒートアップしちまった」

「ぅ………ぐす…………ひぐ、うぇ………」

気力が失せた。
その一言に尽きる。

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