過去ログ - とある後日の幻想創話(イマジンストーリー)3
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◆A0cfz0tVgA
[saga sage]
2014/10/27(月) 00:19:58.99 ID:fdkwcR890
一族の名は『スカーレット』。
嘗ては現在のルーマニアの片田舎に住んでいた一族であり、後にヨーロッパの各地を転々としつつ、
現在はイギリスに居を構えている、由緒ある魔術師の家系である。
歴史のある魔術師の一族は独自の魔術を編み出して運用することが多いが、
スカーレット一族も例に漏れず、自分達だけの魔術を生み出すことを至上の命題として研鑽を重ねていた。
しかし、彼らの500年の努力が日の目を見たことは今まで一度もない。
何故なら彼らが求めていたものは、他の魔術師にとってして見れば余りにも荒唐無稽過ぎるものだったからだ。
彼ら目指していた魔術とは『吸血鬼の製造』。
基盤とする人間の肉体に術的な加工を施し、その体を徐々に吸血鬼へと変えていくというものである。
不老不死であり、それ故に無限の魔力を持つ吸血鬼。
その圧倒的な力を手に入れんが為に、彼らは5世紀にも及ぶ年月をかけて研究を続けて来たのだ。
だが、そんなスカーレット一族の姿を見た他の魔術師の声は、極々一部を除いて嘲りの言葉ばかりだった。
存在しない吸血鬼を追い求めていることだけでも、魔術師にとっては抱腹絶倒ものであるはずなのに、
それに加えて吸血鬼を造るなど、まさしく笑いを通り越して憐憫の目を向けてしまうほどの愚行である。
吸血鬼を悪魔と同一視して敵視する十字教ですら、彼らの『吸血鬼の製造』という行いを全くの無害なものと判断し、一抹の関心も向けることは無かった。
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