過去ログ - とある後日の幻想創話(イマジンストーリー)3
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◆A0cfz0tVgA
[saga sage]
2014/12/07(日) 23:45:44.62 ID:M7o1+COU0
心労の色を隠し切れていないヘンリーを見て、ルーシーは問い質そうとはせずにただ優しく呟く。
何故自身の夫がこれほどにまで疲れているのか。その理由を痛いほど知っているからだ。
原因はスカーレット家が代々に渡って続けて来た魔術の研究にある。
その魔術が成すべき事象は『吸血鬼の製造』。西欧に住む人間であれば知らぬものはいない怪物を作るという、
聞く人が聞けば皆、『正気の沙汰とは思えない』と口にするであろう代物だ。
何故なら吸血鬼は口伝えによる情報は様々あるものの、実際に確認されたことは未だに無く、
魔術師の間ではもはや架空の存在として認識されてしまっているからである。
そんなものを製造する魔術を研究しているなどと他の魔術師に説明した所で、鼻で笑われて終わるのが落ちだ。
今回参加した会議でも、参加者である魔術師達はヘンリーの姿を認めた途端、その眼の色を躊躇い無く嘲笑のそれに変えていた。
その視線に長時間晒されながら、良く冷静を保てたものだとヘンリーは心の中で自画自賛するのであった。
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