15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/01(水) 20:50:40.99 ID:mMrPH74Do
「……みんな、大丈夫か?」
誰しもがいつかは親元を離れる。だが、いくら個人差があるとはいってもこの年で一人離れて仕事をこなすことまで普通だとは思いたくない。
だから、つい口にしてしまったのである。
「……えっへへ。大丈夫ですよぉ、プロデューサーさん」
蕎麦を上手くすくい上げてつるつると滑らせていたさくらが、ねえ、と泉と亜子にも話しかけた。
「電話ですぐ会えるし、プロデューサーさんが居るから寂しくないてないですよぉ!」
「俺ってどういう存在なんだろうな?」
彼女の言葉に思わず苦笑してしまう。
ここまでの歩みでそれなりに信頼関係はできている事は既に確認できてはいるものの、実際一人の人間として、彼女たちにとって俺はどうあれているのだろうか。
必要な時、必要なだけ助けをやれているか?
困っていた時、それを察することができていたか?
少し回想してみても、それらが全てできていたとは思わない。
全知全能でない限りそんな事は不可能だし、それよりもかなり劣る俺にとっては、百の内十もできていれば良い所だろう。
そんな俺でも彼女たちからは良く見られていた。それは彼女たちの立場を利用した物ではないと思いたいものである。
「……どうって、ねえ?」
「そこでアタシに振るんかいっ」
やや回答に詰まった泉が亜子をちらりと見ると、亜子はため息で返してみせた。
「まあ……居なきゃ駄目な、空気みたいな感じとか」
「言わんとしていることはわかるが、その表現は相手を傷つけるぞ泉」
空気と呼ばれて喜ぶ人間はそうそう居まい。たとえどんな意味であったとしてもだ。
「許してやってー。泉はそういう子やから」
「ちょっとやめてよ、そういうの……。私だってあの頃とは違うんだし」
知ってる、と亜子に反応しようとしかけたのは黙っておこうか。
28Res/56.03 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。