19:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/01(水) 20:56:28.36 ID:mMrPH74Do
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「たっだいまー。あー、疲れた」
「ここは俺の家だぞ……」
大量の荷物を四人で不平等に分けつつ家に辿り着いた頃には既に日は落ちて、大体の家では晩御飯を楽しんでいるだろうという時間であった。
結局、昼食を楽しんだ後は再び買い物に戻ったり、アミューズメントコーナーでエアホッケーをした上にさくらに腕を引かれて四人でプリクラをとったりと、休む間もなく時の道を駆け抜けていったのである。
とりあえず四人がけの四角いテーブルに持ち手が伸びたビニール袋を置くと、亜子は隣の部屋のソファに座って体を伸ばし、それを見たさくらも亜子に抱きつくようにして隣に座って背伸びをした。
ただ唯一泉だけはそんな二人の姿を見て呆れつつも、置かれたビニール袋の中身を取り出しては用途別、収納別に荷物を選別している。
「泉も疲れたろ。荷物は後でいいから、今は休んでこい」
勿論今日の晩御飯用に購入した生鮮食品類は冷蔵庫にしまわなければならないのだが、それは俺がすべき仕事であって、遊ぶために来た彼女たちがする事ではない。
しかし、俺の意思に反して泉は小さく首を横に振った。
「今出さないと意味が無いから」
どういうことなのだろう、と問い返すと、泉にしては珍しくお茶を濁されてしまった。
「あ、泉ゴメンゴメン、アタシらも手伝うわ」
要領を得ないので再度内容を変えて質問しようと台詞を考えていた所、先程までソファに座っていた二人がテーブルに戻ってきたのだ。
「うん、よろしく。さくらは今日の料理の材料を洗っておいてくれる?」
「りょうかーい、だよっ!」
本物から見ればなんて不敬な敬礼だと思われそうだが、にこやかに笑ってするその姿に悪意は全く感じられない。
そうして、亜子はテーブルの片付け、さくらは料理の準備を開始した。
「それじゃ泉、終わったら料理に来てなー。出来るだけ早めで。さくらだけじゃ嫌な予感がするから」
「もぉ、私だってできますよぉ!」
特に臆すること無くテーブルに分けられた野菜類をおもむろに洗い始めるさくらをからかいながら、亜子は何やらビニール袋を持ってソファに座った泉に声を掛けた。
「こっちはすぐ終わるから、さくら、待っててね」
「泉は料理しないのか?」
ごく自然に発言しているが、そもそもアイドル三人がこぞって俺の家に来て料理している時点でおかしい事に俺は気づかなければならない。
だが、あまりにも自然すぎて――まるで買い物から帰ってきた家族のような――思考に間を挟む隙すらできなかったのである。
「あー、泉は別件でね。ほらほら、Pちゃんも手伝ってー」
ちょいちょいと少し離れた隣で手招きする亜子に誘われるがまま、俺は亜子に近づくと晩御飯のための準備を手伝うことになったのであった。
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