21:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/01(水) 21:04:12.22 ID:mMrPH74Do
そして、それはアイドルにとっても言える。
ニューウェーブといえば、最初から綺麗に舞い、数多のファンに歌声を届けられていたわけではない。
デビュー前は本人たちの戸惑いや不安もあって中々芽がでず、華々しい他のアイドルの映像を見ながら、自分たちは閑散とした商店街で商品の宣伝をしていることもあった。
だが、今ではもはやそんな影は無い。
綺羅びやかなイルミネーションの中、三人で分身を描くかのように息のあった踊りと歌を届け、あふれんばかりの観客に楽しさや幸せを届けられるまでになっていた。
勿論それは彼女たちが見えないところでも必死に練習したおかげでもあるが、俺やトレーナーの人、そしてアイドルの先輩や後輩達の交流があってのことだ。
そうして支えられて、彼女たちは成功し、それぞれが一人で立って歌った。
もう後ろは見てもらわなくてもいい、というのは、彼女たちが自立した証だ。
彼女たちが成長したから、自立というステップにまで進んだのである。
だから、成長というのは自立することなのだと思う。
俺にしろ、彼女たちにしろ、だ。
「……ホントにそぉですかぁ?」
亜子が俺の回答に反応する前に、ボウルに切った野菜を入れていたさくらは手を止めてこちらを向いた。
「違うのか?」
少なくとも俺はそう感じていた。
全く自立していると自負している訳ではないが、数年プロデューサー業をやって来た現在はそれなりに自分で考えて動けていると思っている。
それでも、さくらはうーん、と野菜くずが付着したままの手を所在なさ気にふりふりと揺らしながら唸っていた。
「正直な、アタシもそれは違うと思う」
「亜子も……?」
予想外のブーイングに思わず戸惑ってしまう。
どこが違うのだろうか、と思い直してみても、一度決まりきった回答を身に宿してしまった時点で間違いなど気づくはずもない。
第一、今日の昼時の会話では亜子自身も成長という言葉を用いていた。
その時の意味は、概ね俺の答えた意味で合っていたはずだ。
それなのにどうして、という言葉を飲み込んで、俺は彼女の言葉を待つことにした。
「だって、もしそうだったら……みんな成長しなくなりますよぉ」
そうして出てきたさくらの言葉は、微笑みと共に表れた。
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