25:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/01(水) 21:18:41.07 ID:mMrPH74Do
そういえば、先程キッチンで彼女は確かこう言った。
――もしそうだったら、みんな成長しなくなる。
これがどういう意味なのかを考えると、予め予習していたかのように難なく解答にたどり着くことが出来た。
「アイドルをやってもやってなくても、人はいつか変わってしまう。だからこそ、私達は変わらずに居たいと思うの」
つまり、成長することがやがて別れに繋がるという因果関係を、彼女たちは真っ向から否定しているのだ。
成長することは変わること。変わることは今までと別れを告げる事。
当たり前のような事だが、それでもニューウェーブという存在は変わらずに居たい。
「家族みたいなもん。年取るし、家も出るかもしれない。けどなPちゃん、どれだけ変わっても、ここを離れても、みんなと居た事、Pちゃんが担当についてくれた事を昔の話にしたくないんよ」
彼女たちが持つ確固たる絆が、そう叫んでいるのである。
「難しいことはわからないけど、みんなと一緒に楽しくできるなら私、がんばります! ……それじゃ、だめかなぁ?」
俺は、いつの間にか変わって然るべしという概念が植え付けられていたのかもしれない。
要は見方の問題だ。
変わるという成長もあれば、変わらないという成長もあるのである。
世の中が変わり続けるからこそ、そのままでいるということがどれだけ難しいことか、この業界にいてわからない筈がない。
「……それで、このラックか」
真っ赤なリボンはさくら、ヒマワリの髪留めは亜子、青のテディベアは泉。そして、黒のブレスレットは――。
「私達は私達だけじゃなくて、Pもいて私達なんだよ。だから、私達はトリコロールじゃなくて、テトラード。……色はちょっと違うけどね」
そう言って口に手を当て、泉が小さく笑う。
いつまでも変わりませんように。いつまでもこのままでありますように。
決して悪い意味ではない。人は成長し、どんどん変わっていく。
その中で、心だけは、人の繋がりだけは変わらずに居たい。
この歪なテトラードは、彼女たちなりの誓いなのであった。
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