26:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/01(水) 21:20:04.45 ID:mMrPH74Do
「……変わったなあ、お前たちも」
不意に俺は呟いてしまう。
かつて彼女たちは、不安に揺れ動いていたり、やる気が空回りしていた時があった。
その時期は、まるで目の前しか見えていないかのような様子であったと俺の記憶が告げている。
しかし、今は遥か遠くの未来までも見据えているのだ。
一辺倒にしか考えていなかった俺に、そんな彼女たちをどうこう言えるはずがなかった。
「じゃあ頑張ろうか、変わらないために。……言っておくが、難しいぞ?」
冗談がてら、軽く脅しをかけておく。
この世界で変わらずにあり続けるのがどれだけ難しいか、彼女たちも重々承知しているはずだ。
「わかってるよ。だからこれをここに置くの」
それでも宣言するということは、つまりそういうことなのだ。
俺と彼女たちの絆は、彼女たち三人の絆に比べれば軽薄である。
だからこそ、彼女たちは俺の部屋にこのテトラードを設置した。俺の部屋に刻まれた確かな証拠は、思いが朽ちずあり続けるために、そして俺がそれを忘れないためなのだろう。
「まあ、そういうことよ。……あー、変な話しちゃったなあ。ご飯作ろか、泉」
「あんまり得意じゃないもんね、亜子は。ふふ、私も手伝うよ」
話がつんと張り詰めると、まるで今まで息を止めていたかのように亜子が息を大きく吐いた。
普段の性格を考えればやむ無しか。
「さくらもおいしい晩御飯、がんばりますぅ!」
二人の会話に入るようにさくらが二人の手を取った。
仲良く笑う彼女たちの絵は、今まで幾度と無く見てきた光景だ。
しかし、これからは違う。
「――よし、俺も手伝うよ」
三色の過去と四色の今。それが未来まで続きますように。
限りなく遠いこの先をテトラードで彩れるように、俺は彼女たちの後を追うのであった。
[おわり]
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