5:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/01(水) 20:33:45.76 ID:mMrPH74Do
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改めて、目の前の状況から過去の回想、それも間近の物を再生してみる。
――そう、今日は三日目だ。
彼女たちが指定した希望連休は一昨日から始まっているのだから、それから二日後の今日は彼女たちにとって連休の最終日となるはずである。
俺は俺で、連休明けの仕事の打ち合わせがあったり、事務所に居る他のアイドルの面倒をみたり、それ以外にも事務所自体の資料整理など仕事がないはずがない。
ニューウェーブが休日を楽しんでいる最中、俺はいつもどおり仕事をしていたのだ。
そうして二日間のニューウェーブの居ない日が過ぎると、三日目は俺も事務所から休日を頂いたのである。
やはり彼女たちの練習に付き合ったり、仕事の付き添いをずっとしていると休みという存在とはどうしても縁遠い物となってしまう。
この業界にプロデューサーとして入った時点でそれぐらいの生活は覚悟していたのだが、存外この事務所は裏方にまで気を配ってくれており、慰労という名目で俺にも休日を与えてくれたのである。
尤も、常識で言えば週に一回の休日すら無い時点で気を配る以前の問題なのだが、そこは目を瞑っておく。
そして、この三日間では当然彼女たちとは連絡をしていない。
事前に連休最終日翌日以降の予定に関しては説明してあるので、事務所で合流することになっているのだ。
というのも、もういちいち連絡しなくても理解してくれる段階にまで来てくれているという理由もあるが、何より折角の休日に仕事の人間から連絡があっては気が滅入るというものだからである。
そう、今日は三日目。
俺は久方ぶりに訪れた休日に入るために目を覚ます。
やはり時間に追われることなく自由に起床できるのは素晴らしいものだ。
癖のついた髪に手をあてつつ時計を確認すると、およそそれは午前九時を指している。
本来であればもう事務所から飛び出して仕事を始めている時間なのにな、と普段の忙しさに思わず苦笑する。
さて、珍しい休日なのだから、気晴らしにどこかに買い物に出かけようか?
そうすれば今後のために良いアイデアでもできるかもしれないし、次の仕事に活かせるかもしれない。
――そんな他愛のない考えを霧散させたのは、寝室の扉の先からの音であった。
コト、コト。タッタッ。
不自然な物音。
眠気の先へと旅立ちそうな意識の首に縄をかけられて引き戻された。
何だ?
立ち上がろうとした怠惰な動きの体を瞬時に動かして咄嗟に扉に近づくと、扉に耳を当ててみる。
すると、先ほどと変わらず――まるで俺のことなど気にしていないかのような緩慢な動作音を鳴らしながら何かをしているではないか。
空き巣、という言葉が瞬間頭に浮かぶが、それにしては少し様子がおかしい。
なにせこの時間だ、深夜帯ならともかく顔の割れやすい朝、しかもこんな物音を立てては見つけてくださいと言わんばかりの様子なのだ。
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