過去ログ - 対木もこ「私と荒川憩のカレーうどん戦争 02」
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54: ◆cvvZKri7SI[saga]
2014/01/08(水) 14:48:31.89 ID:NVDGXRYwo

「もこちゃん。それは成り立たんよ」

 再び私の言葉を否定したのは、荒川憩だった。

「そらドナー登録自体はできるよ。でも、清水谷さんが園城寺さんに臓器提供できるかなんて、そんなん分からんで」
「そうだな」

 臓器提供をする側の人間と、してもらう側の人間─ドナーとレシピエントという─は、それを互いに知らされない。

 ドナーは死亡して初めて臓器を改めて提供できるかチェックされるし、何より死亡して初めてレシピエントの選定に入るのだ。

 彼女が園城寺怜に自身の心臓を提供できるかどうかは、それこそ死んでからでないと分からないのだ。

 でも、清水谷竜華にとってはそれでも良かった。

 何もしないではいられなかったのだろう。
 大切な友人が、余命一年といわれたら、いてもたってもいられないのが清水谷竜華という人間だ。

 たとえ自身の心臓を移植できなくとも、何か行動しないと気がすまなかったのだろう。

 言ってみればそれは唯の気休めで、意味さえないようなささやかな抵抗に過ぎなかった。


 少なくとも、昨日までは。




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