過去ログ - 提督「新薬の効果を試してほしい?」
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103: ◆TKy4PRCXww[saga]
2014/01/11(土) 11:33:13.74 ID:dO6HKsGe0
不知火「少々お待ちを」スッ
どこに入れていたのか、バナナの皮をおもむろに取り出し、床に無造作に置いた
不知火「これでよしっと」
不知火「では」トコトコ
ぐっと不知火がバナナの皮を踏んだ瞬間、擬音でよく使われるツルッという音と同時に足をとられ、床に尻もちをついてしまった
不知火「あーーーーーそうですね、これは痛い」チラ
不知火「っべーわこれまじっべーわ」チラチラ
露骨っ……!いやこれは最早その域を超えているっ……!
――だがそれでも提督は
提督「大丈夫か?不知火」ヒョイ
不知火「あ……」
提督「不知火もこんなに軽いんだな」
提督(触ったら、壊れてしまいそうなくらい)
不知火「提督、首に手を回してもいいですか?」
提督「あぁ、いいぞ」
不知火「提督、もっと強く抱きしめもらってもいいですか?」
提督「いいぞ」ギュッ
不知火「提督、……提督の胸を借りてもいいですか?」
提督「……」
……不知火の目には、いつの間にか涙が溜まっていた
その涙のダムは今にも決壊しそうに、灰色の瞳の中で揺れている
提督「……あぁ、こんな自分の胸でよかったら、いくらでも貸してやるさ」
不知火「そうですか、……では遠慮無く」
不知火「うっ……うぇぇ……うぇぇぇぇぇぇん」
わんわんと泣きじゃくる不知火、そこに居たのはいつもの強くて、冷静な秘書艦の彼女ではない
そこに居たのは子供らしく、素直に自分の本心を言葉に出し、嫉妬する。だが、それでいて紛れも無い"不知火"なのであった
彼女はいつまでも泣いた。一度決壊したダムは、止められる場所なんてない
ただただ水が無くなるのを待つだけ
――いつからだろうか、不知火が子供らしさを捨て、強くなろうと思ったのは
――いつからだろうか、提督が彼女を強くて冷静で、自慢の秘書艦と頼りきってしまっていたのは
二つの歯車はいつまでも噛みあわず、嫌な音を出しながら廻ってるように見えただけ
……けど
ほんの一つのきっかけで、ほんの一つの部品を組み込んであげるだけで
歯車はまた噛み合うかもしれない
複雑そうに見えた歯車は、意外と雑に出来ていた
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