過去ログ - 咲の登場人物である染谷まこ及びその他の人物についての撰集抄
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43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/05/17(土) 03:09:44.86 ID:j7o85Q1Wo
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訳がわからず、「いったい、何がどうして……」と呟くと、彼も、いや、おじいちゃんも不思議そうに首を捻って見せた。

「わしにもようわからんのじゃが、誰かに呼ばれたような感じで、気が付いたらこの部屋におったんじゃわ。そうしたら目の前にこいつがおってな」

とんとん、と自分の胸を叩く。

「ほいで、お孫さんを僕に下さい、などとぬかすんで、どこの馬の骨に、と取っ組みあいをしちょったら、こんな具合になったんじゃわ」

頭が痛い……。

彼はいったい何をしているのだ……。



姿形は彼でも、中身は本当におじいちゃんで、私は一生懸命に、あれから今までどんなことがあったか、何を見てきたかを話し続けた。

おじいちゃんはあの頃と変わらず、にこにこと本当に楽しそうに、私の話を聞いてくれていた。

そうして話し続けていると、ふと、おじいちゃんが外を見ているのに気づいた。

その視線を追って外を見た私におじいちゃんは告げた。

「わしはそろそろ行かにゃならんわ」

私は外を見たまま、何も言えなかった。

少し間をおいて、おじいちゃんは続けた。

「まあ、ずっとこの体を使い続けてええなら、いかんでも良さそうなんじゃがな」

ずっと、使い続ける……?

その言葉を反芻した私は、勢いよくおじいちゃんに向き直った。

おじいちゃんは、あの頃のような、いたずら気な笑みを浮かべていた。

私が何を言うかを見透かしたかのような、そんな笑みだ。

「一応、そんなんでも大事な後輩なんじゃ。ずっとは……、困るわ」

「うん、そうじゃな。ほいじゃあ、そろそろ行くとしようかのう」

おじいちゃんは両手を広げて、おいで、と言った。

私がそこに飛び込むと、優しく抱き締めてくれて、「次に会うときには、また楽しい話を――」、そう言って、おじいちゃんはいなくなった。


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