過去ログ - 男「お前、本当にアンドロイドなのか」AI「なんでんなこと聞くんだ?」
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33: ◆NrFF2h.q26[saga]
2014/01/20(月) 14:55:05.93 ID:Djr8fqaVO

AI「お前はマンガ読んでた?」

男「あぁ、少しだけな」

AI「へー意外だな。絶対に興味無さそうなのに」

男「……確かに」



そう言えば、何故俺は興味の無いものを、幼い頃に読んでいたのだろう?
実際に読んだ記憶は間違いなくあるが、自分から手に取った記憶はないし、読んでいてもあまり楽しんではいなかった。
それでも俺は読んでいたというのか?


……なんのために?
誰かに付き合わされていたとしても、一緒にマンガを読むような友人付き合いなんて、俺には無かった。
親や親戚にもマンガが好きな人間などいなかった。



男「確かに……なんで読んでたんだろう」

AI「え?」

男「でも間違いなく読んでいた記憶はあるんだ……これなんか最後まで読んでるな」

AI「……主人公が古びた倉庫で見つけたバトル用アンドロイドが実は伝説のアンドロイドで、数々の敵のアンドロイドと戦い、悪のアンドロイドを倒す」

AI「心優しく熱血漢の主人公と、人間の感情を理解出来ないバトル用アンドロイドは、最初上手くコンビネーションが出来ないんだけど、段々とアンドロイドが人間の心を理解していって、いい相棒になるんだよな!」

男「お前、もう読んだのか?最後は主人公のアンドロイドと悪のアンドロイドが相討ちになって、暫く主人公のアンドロイドが行方不明になった後、また戻ってきたのを暗示するシーンが描かれて終わるんだ」

AI「このマンガいいよなー!別れのシーンとかボロ泣きモンだぜ……!」

男「……やっぱりアンドロイドに感性が負けてるのか……」



人間にとって絶対的な領域であるところで、機械に負けているのが途方もなく悲しくなってくる。
だが、こいつが面白いと思っているのは所詮、思考プログラムにとって新鮮なデータを取れているからに違いない。
人間のように登場人物の生き様に感動して涙を流すワケもない。



ーーはず、なのだが。



横にいるAIがあまりにも熱弁しながら泣くので、揺るぎないはずの確信が、不意に揺らいでしまう。
その姿はきっと、このマンガを読んだ人間の一般的な反応を、AIが単に模倣しているに過ぎないんだ。
何もかもがプログラムの弾き出した行動パターンに過ぎないんだ。



ーーだから何だって言うんだ?

人間だって、行動と考えは違う。
誰かが期待するから、本意とは違うことも行わなければらならなくなる。
優しい顔をして、裏で相手を傷付けることをしていたりする。
だから俺は機械弄りの方が好きで、ただひたすら土地を開拓していく機械に囲まれているこの環境にいることが、一番の幸せなんだ。



俺は人間が嫌いだ。
ずっと昔から、そしてこれからもずっと嫌いだ。
誰一人、好きになったことも、なることもない。
親にさえ愛し愛されなかった俺が、そんなこと出来るわけがないんだ。


だから人間のマネをするこのアンドロイドに、絆される道理なんてないんだ。






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