過去ログ - 【咲だ】絹恵「サッカーバトルや！」洋榎「イナイレのやな」【安価だ】 -SS速報VIP

過去ログ - 【咲だ】絹恵「サッカーバトルや！」洋榎「イナイレのやな」【安価だ】

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939: ◆y1N9qpFpt6[saga]
2014/02/01(土) 23:47:44.75 ID:ypzkB1F/0

？「確かに何も事情を知らない人達を勝手にモルモットにしたことについては、糾弾されても仕方のないことでしょう」

？「……しかし、私の行動自体には何も間違いは無いはずです」

？「この世には、実力はないがサッカーバトルで活躍したい子供たちが沢山います」

？「そういった子供たちを救うのが私の目的なのですよ……ね、私は私の行動に一応の有しているんですよ。どうです？これでも私を、いや『人工化身』を間違っていると言いますか？」

そう上機嫌で語る彼のその言葉に、絹恵は何も言えなかった。

洋榎達の時のようにそれが正しいと思っていたからではない――その考えは、酷く歪んでいるものである筈だった。

絹恵「(……でも)」

それを、指摘するだけの言葉を絹恵は持たなかった。

間違いだらけの答えの筈なのに、それを訂正する力を、言葉を持っていなかったのだ。

絹恵「……」

？「ホラ、そうでしょう。答えられはしないんです……私にも私の考えが正しいか間違っているかは分かりません。そしてアナタ達にも……」

？「……ですが安心してください！この研究が完成した暁には、必ず市井の人々が正しい決断を下してくださる筈です！私のようないくら練習しても上手くならない人間たちが、この研究をどう思うかに全てを任せるのですよ！」

？「それとも、ここで答えられますか？『私が正しいか、そうではないか』というこの問いに！」

男はそこで、一旦言葉を切り再び二人の方を見た。

彼はもしかしたら知っているのかもしれない、と絹恵は思った。彼女達が「自分が正しいのか」という問いに対し、自分と同じ答えを出すことしかできないということを。

絹恵「(でも……それでええんかな。この人が間違ってるのは確かなんや……感覚で分かる。でも、何で間違ってるのかを指摘できひん……！)」

それは、酷くもどかしい気持ちだった。

かつてサッカーバトルが上達しなかった一人の少年が、成長し金で買える安易な上達法を提供する。

正しいものと、間違ったものがごちゃごちゃになった存在である目の前の男を、弾劾するだけの経験と年齢を絹恵はまだ重ねていなかった。

絹恵「(悔しい……！あの人がこのまま研究を重ねることがじゃない……『人工化身』に対してでもない……私が、ここで自分の意見を言えへんことが、凄く悔しい！)」

ぎりっ、と自分が無意識下に歯を噛み締めるのを絹恵は感じた。

言葉足らずとは、何も言い出せないとはこれ程までに辛いのか。彼女がそう思ったその時――。

智葉「……くだらないな」

――絹恵の隣で、そう智葉が言い切った。

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