過去ログ - フィアンマ『安価で人生をやり直したい』
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172: ◆oaboKSAYMBw5[saga]
2014/01/19(日) 15:40:19.08 ID:3xaB4YU60

『残念だ。至極残念ではある』

怒りを堪えている声音ではない。
嘆いてるようにも思えない。
淡々とした物言いに、フィアンマは眉を寄せる。

『ただ――――冷静に考えれば、彼女より、自分の報復しか考えていなかった事の』
「……、…」
『報い、なんだろうな』

独白。

それで、完結してしまうのか。
拍子抜けして、かえって歯痒くて、フィアンマは言葉を紡ぐ。

「お前はそれで良いのか。見ず知らずの男に人生を奪われて?」
『だから、仕方がないと思っているよ。貰い事故のようなものさ』
「……、…」
『俺の人生を、あげるよ。俺の記憶が君に流れているように、君の記憶も俺に流れてきている。
 君に同情した、と言えば聞こえは良いかな。……俺の肉体が死を迎える前に君が満足したなら、その時は解放してくれ』

どこまでお人好しなのだ、とフィアンマは思った。

「お前の全ては俺様のものだ。返さない」
『ああ、残念だが、俺には抗う術がない』


それきり、返答はなかった。
シルビアは医者を連れて戻って来た。
しばらく診断を受け、検査を受けて。

一週間後、『オッレルス』は退院した。



「掃除はしておいたよ。汚くはないだろ」
「ああ、ありがとう」
「暫くは消化の良いものを作るから」
「ん」

シルビアは、疑っていない。

「少し出かけてくるよ。リハビリも兼ねてね」
「そ。無理すんじゃないよ」

フィアンマは、外へ出た。
日差しが眩しい。寒暖を感じる。

生きている。

久しい感覚だった。

(俺様は―――もとい、この男は世界中から追われている、か)

逃げおおせる、隠れ潜む技術は所有している。
それを駆使すれば、厄介な人物には捕まらないだろう。





フィアンマはどうする?>>+2


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