過去ログ - フィアンマ『安価で人生をやり直したい』
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685: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/02/15(土) 13:21:31.02 ID:yPUXRhxc0

「当然。それを忘れてはいない」

凛とした表情で、彼はそう言った。
三年程前に、フィアンマはアウレオルスから一つ相談を受けたことがある。
とある少女を、大切な生徒を、残酷な運命から救いたい、と。
対して、フィアンマは今この瞬間と同じ表情を浮かべる彼にこう回答した。

『ローマ正教で得られるものを全て得て、それから離反しろ』と。

アウレオルスが救いたい大切な生徒が誰か、はわかっていた。
フィアンマに対し、ローラが提示した条件である『あれ』。
即ち、イギリス清教の禁書目録。
一年に一度記憶を消されて全てゼロに戻る、孤独で愛らしい少女。

「ただ、忘れ物をとりに来ただけだ」
「そうか。俺様が見逃している内にとってくることだ」
「毅然、…私が取りにきたものは三つ。
 一つは、彼女を救うために必要な写本。
 一つは、私が長年使用してきた万年筆」

ローマ教皇は既に奥の部屋へ入っている。
警備の僧兵達は眠そうだ。
ここで離反の話をしていても、誰一人聞いていない。

「もう一つが、私の夢を決して否定しなかった理解者だ」
「そんな人間が居たのか。離反者が増えるな」

とはいえ、自分はもはや右方のフィアンマではない。
元々見逃してやるつもりだったし、引き止める必要も感じられない。
良かったな、と笑う彼女に対し、アウレオルスは告げた。

「自然、他ならぬ貴方だ」
「……ん?」
「本来は、貴方の痕跡の残る形見を一つ失敬するつもりだった。
 しかし、…貴方は生きている。今、こうして目の前に居る」

夢を否定せず、むしろ応援したのは、自分には何もなかったから。
要するに、自分の理想の投影だ。それだけに過ぎない。

「……誰に向かって誘いをかけているのか、わかっているのか? 
 俺様は確かに今現在、ローマ正教の頂点には君臨していないが」
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