過去ログ - 【安価】京太郎「義姉さん達がどうしたんだ?」ネリー「Part25」
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839: ◆qV6dwdDny6[saga sage]
2014/02/11(火) 10:31:35.95 ID:KERuEzBMO
後日談

「なあ…結局儂だけが生き残った」

住み慣れた部屋で老人は隣に座る少女に尋ねた。

「…100歳まで生きた。寧ろ生きすぎだ」

見た目とは似つかない口調で少女は老人の問いに応える。

「100歳か…随分と長く生きたな」

「…そうだな」

何気ない会話をしながら二人の間にはゆっくりと時間がせまってきていた。

「色々な事があった…子供が産まれて…気がついたら孫が居て…一人、また一人と儂をおいて逝った」

老人は懐かしみながら昔を振り返る。

18歳の時に結婚して
19で子供が産まれて
そこから先の人生は幸福だった。
風当たりは確かに強かった。
だが年が過ぎる度に家族が増えた。
いざこざや喧嘩もあった。だが最期には皆が笑っていた。

そして別れの時がやってくる。

「ごめんね、京君」

義姉達は最期まで泣いていた。

「……先に逝って待ってます」

初恋の人はそう言って笑ってくれた。

「…天国があるならまた暮らせますね」

最期までオカルトを信じなかった天使は最期にそう呟いた。

「先に逝く。一番遅れてこい」

最期まで気高い彼女が流した涙を俺は見た。

36人。

愛した家族が天国に旅立っていく。子供達もその後をおっていく。

一人なら辛かった。
一人なら泣いた。
一人なら死んだかもしれない。

でも側には彼女が居た。

「大丈夫…私が居る」

それが彼女の口癖。
誰かが逝く度に手を握り彼女はそう呟いた。

それでも…その彼女が逝く時がくる。

「……また逢おう」

彼女はそう言って永遠の眠りについた。その目が覚める事は無い。

「…逝くのか?」

少女が手を握ってくれる。出会って95年…一番長い付き合いだ。

「ああ…ありがとうな」

名前が出ない。この少女の名前が。

「馬鹿者…また会えるだろう」

手に水滴が落ちてくる。

「そうだな…またな…**」
ゆっくりと瞳を閉じる。静かな闇が訪れる。
そこには最愛の人達が居るのだろうか?居ないのなら…それでもいい。探すだけだけなのだから。


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