22: ◆r/T8Hzsiiixp[sage]
2014/01/23(木) 22:03:37.57 ID:8GRF1/iNo
心臓を鷲掴みにされたのかと思った。
突然、苦しみともつかぬざわめきが心を掻き乱す。
男「な、何が起こって…」
ぼやける視界。
次いで、脳裏にフラッシュバックする光景。
雪―――
しんしんと体に降り注ぐ雪。
呆然と見つめる先は雪が降ってくる、空の彼方。
鮮血―――
体中が焼けるように熱いのに止まらない寒気。
ヌルリと手に伝わる感触、口の中に広がる鉄の味。
自分の体から血が流れ出ているのだ、と痛みが教えてくれる。
傍で泣く少女―――
意識が朦朧としているせいだろうか、輪郭がぼやけて顔がよく見えない。
でも……彼女が自分にとってかけがえのない存在である事は直感で理解した。
男(これは……)
男「過去の……記憶?」
――――――ん
男(君は……)
――――ちゃん!
男(僕の…)
――お兄ちゃん!
忌もうと「お兄ちゃん♪」
男「…!」ハッ
気づいた時にはもう遅い。
眼前に迫る刃がゆっくりと振り下ろされ、
そして……
*tick*
”時”が止まった。
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