過去ログ - アーカード「お前のそれは…」エリック「貴方は?」
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6:タイトルから来た方本当にごめんなさい…[saga]
2014/01/28(火) 21:15:57.43 ID:xaIycZmv0
「どうしたんです?帰るなりキャンバスに向かって」

バルコニーに席を構えて、エリックはパレットと筆を構えたままぼんやりと物思いに耽っていた。
エリックは幼い頃から芸術を愛する男でもあった。
美しきを愛で、豊かな想像に励み、愛に生きようとする心優しい少年だったのだ、しかし…

エリック「描きたくなったんだ、だが…やはり、いつもの通りさ」

「…べたついた曇り空だからですよ、描きたいなんて思えないから」

エリック「そんなことじゃない…わかってるだろ?」

「………」

1917年の一件以来、彼は絵も詩も、さっぱりと書けなくなってしまったのだ。
こうして愛用の筆を握りキャンバスに向かっても、ただそこには真っ白な帆布が見えるのみ。
何も、沸いてこない。

エリック「心が汚れてしまったのかな」

「そんなことはありません、あなたはヴァンパイアハンターなのですから」

エリック「だけど復讐の為の戦いだった」

「それは復讐でなく、決着と呼べばよいのです」

エリック「…」

(決着か。
 だとしたら、私の中では…まだ戦いは終わっていない。
 心の中の整理も、まだ放ったらかしなのだから…)

エリック「ステラ達は?」

「…お昼寝ですよ、先ほど寝かしつけたばかりです」

エリック「…すまないな」

「何がでしょうか?」

エリック「面倒な男に付きあわせてしまって、だ」

まだやることがあるので失礼します、とだけ言って、
まるで聖母のような微笑を浮かべながらエリックの妻はバルコニーを後にした。


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