過去ログ - モバP「赤色の恋心」
1- 20
8:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/01/28(火) 22:39:36.80 ID:4dDXRU7No


 ――始めて翠が後輩と出会ったのは、いつもどおりの事務所の中に春の心地良い空気が入り混じり始めた季節だった。

 一年目は右往左往、東奔西走といった言葉をひとしきり並べたくなるような時間を俺と翠、そしてちひろさんやトレーナーさんなどで過ごし、二年目も相変わらず終わらない練習と仕事を続け、今尚それは変わっていない。
 しかし翠においては二年目の頃、私生活に卒業と入学という大きな変化が訪れていた。

 彼女は一年目から東京で動くことが多くあり、その間元々通っていた高校にはあまり出席出来ずにいた。
 しかしながら忙しい合間を縫っては出席を行い、無事に卒業することが出来たのだ。
 一度別世界に行ってしまえば学業が疎かになるアイドルというのも少なくないが、際立って翠は学生という身分に関心を持っていた。
 それは芸能界に身を置いても尚学生としての思い出や大切な友人達を裏切りたくないという翠の思いもあったのかもしれない。

 結局翠は学業に秀てなかなかの成績を維持し、事務所に程々近い東京の大学に進学することができたのである。
 ちなみに現在翠はアイドルとして働く傍ら、大学生としてキャンパスライフを送っている。

 そんな夢に満ち溢れた大学生活の門戸を叩いた時期に後輩と顔を会わせたのであった。

 後輩たちは皆自らこの事務所に志望してきた子で非常に元気がよく、爽やかな季節と相まってとても快活な印象を受けた。
 その子達の挨拶を一様に聞いて翠は第一印象で驚いたという表情をしつつも、芸能界の事を何も知らないと聞くやいなや丁寧に――俺がちひろさんが翠にしたように――説明し、会話を始めたのである。
 唯一の同じ立場の先輩という事もあり最初は質問攻めにあっていたが、決して投げ出さず全て答えることで、彼女たちにとって良き先輩になることができたと俺は思っている。

 故に、それから現在までこうして平穏に過ごせているのだろう。

 翠ほどの活動初年度での大躍進は無かったものの、ここ最近でようやく各々の個性を活かせる位にまで成長し、今年あたりでブレイクを目指しているところである。

 そのため、こうしたレッスン記録をきっちりとっておかなければ正確なプロデュースができないとして、昨日の記憶を掘り起こしながらキーボードを叩いているという訳だ。





<<前のレス[*]次のレス[#]>>
26Res/38.36 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice