24:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/01/29(水) 21:37:07.87 ID:Y5VyRhna0
少女はなおもその手に係る力を強めていく。
宝石の中央に亀裂が走る。
ほむら(だめ……!)
地面の土に爪痕をつけながらクローバーを握り締めて、
ほむらは倒れたままの姿勢で、ありったけの息を吸い込む
そして――
ほむら「だめぇええええええええええええええええええ!!」
出せる限りを尽くして叫んだ。
辺り一帯の空気をほむらの叫声が震わせた。
しかし、その声は少女に届くことは無く
紫色の宝石はその小さな手の中で
圧壊した。
砕けた宝石の欠片が月の光を取り込んで、紫とピンクのグラデーションを彩りながら、
少女の指の隙間から鮮血とともに零れ落ちていく。
ほむら(あ……)
黒く狭まっていく視界。
徐々に体が重くなって、ほむらの思考が減退していく。
少女がほむらの方へと振り返る。
薄らぐ意識の中で、今度ははっきりと表情が分かった。
ほむらが見た少女のその横顔はたおやかに微笑んで
揺れる髪の奥に覗く瞳は、慈しみに濡れていた。
ほむらはなぜ少女がそうしたのかが解ったような、そんな気がした。
下弦の月に雲がかかっている。
陰る月明かりが少女の姿を隠していく。
ほむらの震える唇が消えゆく少女に何かを訴えようと、僅かに動いたところで
一切が暗転した。
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