過去ログ - ほむら「願いの果て」2
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79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga sage]
2014/05/25(日) 22:09:33.94 ID:bOYkz5VF0
 
 
   ふつふつと湧き出でる、やり場の無い怒りが身を焦がす。
   感情を抑えていたものが瓦解し、止めどもなく黒く溢れて滾る。


仁美(何故……)


   両家の生まれである仁美は容姿もそれなり、頭脳も平均を大きく上回り、そしてなにより
   それをおくびにも出さない謙虚さもある。異性から見れば十分魅力的だ。

   少なくとも目の前にいる人物よりかは――


仁美(それなのに……何故……)


   何故、彼の隣に居るのが自分ではないのか。


仁美「……ひとつだけ教えていただけますか、さやかさん」

さやか「え……うん」


   仁美が吐き出したひどく重いトーンの声にただならぬものを感じたが、
   それが何か分からなかった。


仁美「私が失恋したこと、何時知りました?」


   何て答えるのが正解なのか、頭を廻る思考はまとまり切らず
   そのまま、沈黙がさやかの答えとなってしまった。


仁美「そう……ですか」


   力なく席を立つ仁美。
   さやかに背を向けて呟いた。


仁美「さようなら、さやかさん。どうぞ、わたくしの分までお幸せに」


   店内のざわめきの中心を割って仁美は店を後にした。


さやか「仁美……」


   さやかは最後の言葉と去り際に拭った涙を見て、ようやくさやかは自分がしでかしてしまった意味の重さを理解した。

   仁美に掛けた的外れで、見当違いで、謝った内容すら何一つ噛み合っていない慰めの言葉。
   解っているつもりになって調子のいいことを並べ立てて、それがどれだけ彼女を傷つけたのかを。


さやか「――っ!」


   遅すぎる後悔がようやく足を動かして後を追いかけたが、
   既に道の先から仁美の姿は消えて見えなくなっていた。


さやか「最悪だ……あたし」
 
 
 
 
 










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