11:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/01(土) 16:01:10.59 ID:M1p+iqog0
「なんだ、それは前にも謝ってもらったぞ。全然気にしてないし、今こうして立派にアイドルとして輝いてくれてるんだから」
「うん。だけどPさんといると、何となく思い出しちゃうことがあって」
俺にとっては悪くない思い出が、加蓮にとってはそうでもないらしい事は、知っていた。こうして謝られる事も今日が初めてではない。
「……自分でも分かってるつもりなんだ」
が、今日は一段とそれが深刻だ。普段は困ったように、でも笑いながら謝って、それで終わるのだが……
「最初から、今みたいな気持ちで走っていたとしても、結局のところ今の私か、今より少し前を歩く私にしかなれなかっただろうって」
「可能性の話、だからな」
何かに焦っている、のだろうか。今日の加蓮は膝の上で組んだ自分の手を見つめながら言葉を続ける。
「うん。だけど、後悔してしまう私を、決して振り切れない。もしかしたら、そうだった私にしか辿り着けない場所があって、今の私には絶対に見ることができない景色があるんじゃないかって」
それは、きっと誰もが一度は陥る感覚なんだろう。俺にも、嫌になるほど覚えがある。
後悔というものは、時間とともに薄れるものだが、ふとした切欠でフラッシュバックすることがある。その時に陥る虚無感は、時間とともに増すような気さえする。
「……あるよ」
「え?」
俺のその答えは、きっと加蓮の期待するものとは違ったことだろう。驚いたような声を上げた加蓮の視線を感じる。さっきとは違う、戸惑いの視線だ。
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