1: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:02:13.72 ID:F76kLudY0
ただ一言そう書かれたメールが届いたのは、雨の降る気だるい午後。
差出人は――――
「萩原さん…?」
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:02:48.52 ID:F76kLudY0
着信自体珍しい私の携帯に、珍しい人物から届いた一通のメール。
何かあったのかしら?
いいえ、助けてって書いてあるのだから何かあったのよね。
そう考えてクローゼットから上着を取り出して着込む。
3: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:03:28.76 ID:F76kLudY0
何度目かのコール音が聞こえたあとにぷつっという音。
良かった、繋がったみたいね。
「萩原さん、今どこにいるの?」
4: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:03:56.14 ID:F76kLudY0
居場所は分かったわ、すぐに向かいましょう。
通りに出てタクシーを拾い、手帳を取り出して萩原さんの家の住所を告げる。
待っててね、萩原さん。
5: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:04:21.62 ID:F76kLudY0
焦る気持ちと裏腹に車はゆったり走る。
こちらの事情なんて関係ないもの、仕方ないわね。
分かっていても、心は逸る一方だった。
6: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:05:30.36 ID:F76kLudY0
「もしもし、萩原さん?今、貴女の家に着いたわ。場所を案内して欲しいのだけど。」
「う、うん。」
7: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:06:40.27 ID:F76kLudY0
「萩原さん!どこにいるの?」
少し張った声で呼びかけると、置いてあった土管からひょっこり顔を出す人物がいた。
そこにいたのね。
8: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:07:26.46 ID:F76kLudY0
「それで、一体何があったの?」
「あ、あのね…。」
9: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:08:34.52 ID:F76kLudY0
そう言って土管の中を指差す。
中を覗くと小さなダンボール箱が一つ置いてあった。
蓋は開いており、中にはタオルが敷き詰められている。
その真ん中に、茶色い物体が鎮座していました。
10: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:09:08.88 ID:F76kLudY0
「えっと、何があったの…?」
「あのね、お買い物の帰りにここを通ったら雨の音に混じって鳴き声が聞こえたから
11: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:10:23.95 ID:F76kLudY0
「そう、そういう事だったのね…。助けてって書いてあるからもっと大変な事かと。」
「ううぅ、ごめんね千早ちゃん。でも、私犬は怖いけどこんなにちっちゃいのに
12: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:11:15.27 ID:F76kLudY0
途中何度か休憩を挟み事務所に着いた。
「千早ちゃん、大丈夫?」
13: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:11:44.35 ID:F76kLudY0
「あら、千早ちゃんに雪歩ちゃん。いらっしゃい、どうしたの?今日はお休みでしょ?」
「あの、音無さん。実は…」
14: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:12:21.05 ID:F76kLudY0
「って事があったんですぅ。」
「なるほどねぇ。」
15: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:13:00.02 ID:F76kLudY0
「あ、で、でも誰か飼える人がいるかもしれないから!ね?」
「小鳥さん…。」
16: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:13:55.72 ID:F76kLudY0
「ウチはマンションだから残念だけど無理ね。」
律子には断られてしまいました。
私も同じ理由で無理なのだけれど…。
17: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:14:27.37 ID:F76kLudY0
「うぁ〜。ごめん!ウチはもう今の家族だけで手一杯なんだ…。
エサ代もバカにならないし…。」
18: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:14:59.25 ID:F76kLudY0
「う〜ん、力になってやりたいけどウチはペット禁止だしなぁ…。」
頼みの綱のプロデューサーも、この件に関しては力になれないようです。
一体どうしたら…。
19: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:15:35.49 ID:F76kLudY0
「どうしたの、萩原さん?」
「わ、私。飼うよ!」
20: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:16:39.47 ID:F76kLudY0
「それに、私が拾ったんだから私が最後まで面倒見なきゃ。それが、この子に対する責任
なんだと思う。さ、最近はいぬ美ちゃんで少しは犬にも慣れたから…。」
21: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/02/03(月) 22:17:10.26 ID:F76kLudY0
「きょ、今日からウチで飼うからね〜。」
「わんっ」
31Res/11.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。