26: ◆ukweaVAfH6
2014/02/09(日) 12:35:50.04 ID:HH7rzBHw0
「これでおしまいですか?」
「……はい」
「やはり、素晴らしい曲ですね」
「……はい」
既に街灯に灯が燈り、カラスさえ鳴かなくなっていた。ほとんど丸一日、『別れの曲』を聴き続けたことになる。最初は、アシュケナージやポリーニ、アルゲリッチといった有名どころばかりを再生してみたのだけれど、あっという間に言い当てられてしまい、少しずつ、古すぎる演奏や逆に新しすぎる演奏、例えばリパッツィやトリフォノフをチョイスしたのだけれど、全く無意味だった。更に言えば、複数回録音している演奏者については、何年の録音だということまで言い当てられてしまった。後半は、もはやただの意地だった。とりあえず、全てを再生してやるという無駄な意地の結果、カウンターに置かれた大量のCDケースと、お金にならない大量のコーヒーを淹れたという事実だけが残ったのだった。
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