6:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/07(金) 01:16:49.23 ID:XywmlDJw0
アイドルになってから数週間、輝子はレッスンに打ち込む日々が続いた。そしてある日の夜、彼女は夢を見た。
夢の中で、輝子は自分が見慣れない姿をしていることに気づいた。普段着の裾の長いシャツでもなく、レッスン用のスポーツウェアでもない。普段の自分とは似ても似つかない、攻撃的な格好に、派手なメイク、そんな自分が大きな舞台に立っていた。舞台の前には、ペンライトを持った多くの人影が蠢き、声をあげている。その歓声の先にいるのは、叫び声をあげる自分で、その光景はまるで、アイドルのようだった。
あくる日、輝子はさっそく、夢の内容をプロデューサーに伝えようとした。しかし、どうにも言葉にできない。あたふたとしていると、プロデューサーが助け舟を出した。
「言葉にできないなら、その夢の自分を、演じてみてくれないか」
言われ、輝子は夢の自分を思い返す。何を言って、どんな身振りだったか。念入りに思い出した後、彼女はそれを表現する。
「ゴートゥヘールッ! フヒヒヒヒ、フハハッアッハッハ! これだよ、これ、こういうの! そう、も、求めてた、私! アッハッハッハ! シイタケ、エリンギ、ブナシメジ、キノコ!」
胸の前で腕を交差し、両手の人差し指と小指立たせ、あらんかぎりの声量で叫んだ。
プロデューサーは目を丸くし、呆気にとられてしまった。そんな彼に、輝子は不安そうに尋ねる。
「――という夢を見たんだけど、プロデューサー、ど、どう?」
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