過去ログ - 【咲―Sski―】京太郎「今日から俺が須賀京子ちゃん?」【永水】
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75: ◆phFWXDIq6U[sage saga]
2014/02/12(水) 21:45:52.11 ID:cJv6xySVo

霞「…あの」
京太郎「…は…い」

それでも彼女の言葉に反応できたのは、おずおずと呼びかける石戸さんの表情がぎこちなかったからだろう。
何処か気まずそうなその表情は、彼女が少なからず俺に同情してくれている事を感じさせてくれた。
冷徹なまでに事実だけを並び立てる祖母とは違い、目の前の石戸さんは俺が理解出来るような感性を持っているらしい。
それに微かに安堵した心が返事を返す余裕を俺に保たせていた。

霞「須賀君って呼んでも良いかしら?」
京太郎「…大丈夫です」
霞「じゃあ…須賀君。色々と思うところはあるだろうけど…今日は休んだ方が良いと思うわ」
京太郎「…そう…ですね」

勝手な言い草だとは思う。
俺をこんなに疲れさせたのは何処の人たちなのかと言ってやりたいくらいには。
けれど、そんな風に言っても、石戸さんを傷つけるだけだ。
このおかしい屋敷の中で初めて俺に同情的な態度を取ってくれた彼女のことを傷つけたくはない。
ましてや、それは間違いなく俺を気遣って言ってくれているのだから尚更だった。

霞「じゃ…こっちに来て。今、お部屋に案内するから」
京太郎「…分かりました」

だからこそ、俺はそっと立ち上がった石戸さんの後を追いかけ、ゆっくりと屋敷を歩く。
その間、二人に会話はなく、ただただ布擦れと床の軋みだけが空間を支配していた。
俺はそもそも和やかに会話するような気力はないし、石戸さんもそんな俺に気遣ってくれているのだろう。
普段は気まずくて仕方がないその沈黙が今の俺にとってはとても有難かった。



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