過去ログ - 【咲―Sski―】京太郎「今日から俺が須賀京子ちゃん?」【永水】
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79: ◆phFWXDIq6U[sage saga]
2014/02/12(水) 21:48:06.02 ID:cJv6xySVo

京太郎「(…そういやオヤジが話が終わったら連絡しても良いって言ってたっけ…?)」

ふと思い出したその言葉に俺の手がピタリと止まった。
それは…こうやって俺が助けを呼ぶ事すら出来ない状況にいるのだと理解していたからなのだろうか。
オヤジにとって俺なんてどうでも良い存在で…この神代家とやらに高値で売れればそれで良かったのだろうか。
今頃は母さんと一緒に邪魔者がいなくなって清々していると笑って…俺を売った金で楽しんでいるのだろうか。
…今の俺には…それすらも何も分からない。

京太郎「…どうしてだよ…」

―― …もう何もかもが分からなかった。

俺が売られた理由も、オヤジの真意も…何もかも。
ただ、確かなのは俺自身ではどうにも出来ないような滅茶苦茶な状況に放り込まれたと言う事だけ。
長野を発った時には考えもしなかったそれに俺は一粒の涙を漏らした。
そうなると…もう涙も弱音も止まらない。
堰を切ったように漏れだした感情はそのまま涙となって布団の上にこぼれ落ちていく。

京太郎「(どうして…こんな事に…)」

それは皆と別れた時の涙とはまったく違うものだった。
ほんの半日ほど前に流したそれは悲しさ混じりではあったが、前を向こうとする意思は間違いなくあったのだから。
しかし、今の俺が流しているそれは不条理と理不尽を嘆くだけのものであり、前向きなものなど何一つとしてない。
ただ、溢れ出る感情をそのまま涙として漏らす生理的なものだった。

京太郎「(咲…皆…)」

…助けてくれという言葉だけはなんとか飲み込んだ。
流石に心の中と言っても、彼女たちに救いを求める事など出来はしない。
無意味と分かっていても皆に縋るのは情けないし…何より、それを実行に移してしまえば大事になってしまう。
そんな事になれば、人一人の戸籍を抹消するだけの力があるらしい家とのトラブルに、皆を巻き込む事になるのだから。
下手をすれば危害を加えられるかもしれない事を思うと、頭の中でも助けを求められない。
それでも俺は…どうしても涙を止める事だけは出来なくて…何時しか俺は涙と共に眠りへと落ちていったのだった。






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