過去ログ - 翠「銀紙に、微かな思いを」
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13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします
2014/02/12(水) 22:17:12.29 ID:slx1J284o


「――っ!」
 明らかに普段の調子ではない声色に、思わず意味を持たない声をあげてしまいました。

 何事かといった千鶴さんも、ソファに勢い良く戻ったありすちゃんを心配そうに声をかけますが、彼女の視線は私をずっと捉えていました。


 身に覚えがある言葉。

 ――嘘つき。
 その言葉が、私の四肢を強く締め付けていく。

「水野さんは以前、私に言ってくれましたよね。自分の気持ちに素直な私が好きだって」

 大人であろうとする彼女に、素直で、本心である事を願った自分。
 あれは、間違いなく私の本意でした。

 現に、他者に対しての障壁を崩し、自己を主張しつつある程度態度を軟化させた現在の彼女の方が私は好きです。

「やるのは難しいですけど、水野さんに教えてもらって頑張ったから今こうして居られるんです。それが良いことだってわかったのも、水野さんのおかげなんです。なのに――」

 では今私の目の前に居る彼女は、どういう心境なのでしょうか。

 喜んでいるのか、怒っているのか。
 悲しんでいるのか。楽しんでいるのか。

 恐らく、いずれの感情にも属さない――いや、どこか混じりっけのある感情なんだと思います。

「目は心を映す鏡です。……水野さんの目に何が映っていたか、自分ではわかりませんか」


 敢えていうのなら、失望。
 そんな風に、見えました。




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