過去ログ - モバP「アイドルのいる風景」
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17:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[sage]
2014/02/15(土) 00:27:06.56 ID:lf+VB/Zqo
「泰葉が何週間一位だったか知ってるかい?」

案内された部屋の椅子に座るとそれまで無言だったプロデューサーは話し始めた。

「いえ……でも私がアイドルを始めて一年間はずっと一位だったと思います」
「君、アイドル初めて一年で一位取ったのか。すごいな……」

本当に関心しているように褒める。

「泰葉は十六の時にアイドルを始めて、十八で一位を取った。それ以来ずっと
 一位だった。だから五年ぐらいか」
「ごね……!?」

凛が絶句する。アイドル業界というのは流行り廃りのサイクルがとても早い。
ランキングに入るような人気のユニットならともかく普通のユニットやアイド
ルは三ヶ月もすれば消えたりしてしまう。そんな中で常に人気一位であるなん
て本来ならとても考えられない。

「まぁ君だって泰葉のライブを舞台袖なりなんなりから見てるだろうからわか
 るだろうけど彼女のアイドルとしての才能は恐ろしく高い。それを引き出し
 た俺はとてもすごいんだよ」

フフーンと威張っている。しかしこれを凛はスルーする。

「才能があるならなおさらすぐにやめるのは勿体ないじゃないですか」
「才能を持つということを知られてしまえば、その人間にはこれからずっと期
 待と結果が付き纏うんだよ」

泰葉の天賦の才能という光は、同時に重圧という闇を生み出し彼女に付き纏った。

「それじゃあ岡崎さんがやめた理由は……」
「『疲れた』。それだけだ」

あの時の言葉を思いだす。かつては楽しかったアイドルも今となっては一位を
取り続けるという苦痛でしかなかった。彼女はその苦痛とずっと付き合っていた。

「もしかしたら泰葉は君に感謝しているかもしれない。苦痛を解放するきっか
 けをくれて」

プロデューサーにお礼をし、泰葉の事務所を後にする。


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