13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:42:27.92 ID:bEFC5GTXo
歌い終わると、先生は盛大な拍手を送ってくれた。
二か所、音程がぐらついたのと、ビブラートがへろついたのとで、私は自分の歌に不満だった。
「いや、如月、すごいよ。素敵だ」
「でも……ミスしました」
「どこで?」
俯いた顔を上げると、先生はまったく屈託のない顔をしていた。
ココとココとココです、なんて、言うのは簡単だけど、私はそれ以上自分のミスを言及しなかった。
先生はなんて言っても褒めてくれそうだったから。それくらい喜んで私の歌を聴いてくれた。
「昨日は練習しなかったみたいだけど」
先生は簡単に"聖地エルサレム"と"渚"の感想を述べてから、思い出したように訊いた。
「先生は昨日もここに来たんですか?」
「いや。職員室に居たんだけど、聴こえなかったから」
私はちょっと居心地が悪くなった。自分の声が職員室にずっと筒抜けだったなんて。
それを言うと、先生はちょっと笑った。
「野球部のかけ声よりは、如月の歌を聴いてる方が楽しいよ」
先生はそう言って、野球部のかけ声を真似た。
さあ来ーい! 返球おせーぞ! とれねー球じゃねーだろ!
一通りもの真似をして満足したのか、あるいは私が笑わないので嫌気がさしたのか、先生は話題を変えた。
「……なぁ、如月、部活は?」
予期せぬ質問にドキッとした。一瞬詰まったようになった喉が、元通り動くのを待ってから、答える。
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