過去ログ - 千早「先生と私」
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19:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:48:28.23 ID:bEFC5GTXo
「……立ち入ったこと訊いてもいいか」

 立ち入ったこと。家族のことだろう。どうぞ、と私は質問を促した。

「お母さんと仲悪い?」
「悪いわけじゃないです」
 良くもないですけど、と付け足した。先生は黙った。

「私、一人暮らしなんです。……家に居づらくて、無理言って家を出してもらったんです」

 どうして居づらいのか、とあっさり訊けるほど私たちは仲良しじゃないし、先生は無遠慮じゃなかった。

 はぁ、と一つ溜息を吐く。家のことを考えるだけで憂鬱になれる。
私の周りの憂鬱気取りの人間はさぞかし羨むだろう。

「ちょっと、重たい話、しても?」

 今度は先生がどうぞ、と言った。重たい話の正体が何なのか、先生は見当がつかないだろうけど。

「私の弟、かなり前に事故で死んじゃったんです。それ以来家がギクシャクしちゃって」

 一息に言ってしまう。間を置かず、簡単に、淡々と説明していく。

「それ以外にも色々絡んでたんでしょうけど、両親が離婚して……中学までは母と二人暮らしで」

 高校は義務教育じゃないから、と筋が通っているんだかいないんだか分からない理由で一人暮らしを許してもらっている。
 お金は、母が出した。入居の保証人は母だった。高校入学の手続きも、当然母だった。
 濃い、溜息が喉から漏れた。

「わがまま言って、贅沢な子供部屋を買ってもらっただけなんでしょうか」
「……言い方、だよ」
 先生は寂しそうに言った。


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