過去ログ - 千早「先生と私」
1- 20
21:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:49:59.11 ID:bEFC5GTXo
「もしもし、お母さん」

 電話の向こうで少し戸惑いというか、そういう気配がした。
前から、あまり日にちが空いていないのに、電話がかかってきたからだろうか。

「私、歌手になろうと思って」
「……そうなの」
「それでオーディション用に履歴書はもう用意してあるんだけど、保護者の同意書が必要なの。書いてほしいんだけど、いい?」

 いい? と、疑問符を付けたのは、私のせめてもの礼儀なのか。

「分かった。すぐに必要なら、お母さんのところに直接持ってきて」

 お母さんは意外にも何も言わずに了承してくれた。

「ありがとう。じゃあ明日にでも持って行くね」

 そうして切ろうとしたところへ。

「ごはんはちゃんと食べてる?」
「毎日ちゃんと食べてる。じゃ、また明日。お母さん」

 ようやく電話を切った。お母さんの小言が不思議と鬱陶しくなく、むしろ温かに感じられた。

「珍しい」

 独り零して、私はCDプレーヤーの電源を入れる。
この間の五枚はとっくに返したことを思い出して、棚から取りに行く。
今の気分は――


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
28Res/29.76 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice