25:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:53:33.07 ID:bEFC5GTXo
――ただいま、留守にしております。ピーという発振音が鳴りましたらお名前と御用件をお話し下さい。
「……先生、私、色んなオーディション受けました。レベル、足りなかったんですかね。
殆ど落ちたんですけど、一つだけ、迎えたいって熱烈に言ってくれる事務所があって。
と言っても、歌手じゃなくって……アイドルとして」
私は妙にすっきりした気分で、続きを話した。私の将来だった。ようやく現れた目標だった。
「捨てる神あれば、拾う神あり……何かの縁と思って、私、そこに行ってみようと思うんです」
歌手として失格の烙印を押されても、歌が歌えるなら、アイドルも悪くないかもしれない。
私は一つ、息を吸った。歌を歌う前のように。
先生の拍手の残響が、耳に浮かんできたから。
「先生、ありがとうございました」
――メッセージの再生を終了します。
ぴっ、ぴっ、と部屋に電子音が響く。空虚で温かな無機的な音、
ガイダンスにしたがって、操作する。ぴー、と間延びした音の後。
――メッセージを削除しました。
"先生"は静かに笑った。
「次、千早の歌を聴くのはどこだろう。ラジオかテレビか……また同じように聴けるかもしれないな」
彼の部屋の隅でCDプレーヤーが鳴っていた。展覧会の絵、プロムナード。
ムソルグスキー、とぎこちなく呟いて、彼はプレーヤーの電源を切った。
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