7:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/02(日) 20:35:25.54 ID:bEFC5GTXo
「もしもし、お母さん?」
家に帰って、食事と一通りの家事と風呂とを済ませた後、母親に電話をした。
彼の言っていた曲名を告げると、母は、ああ、あれね、と軽くメロディを口ずさんだ。
私はそのメロディにああ、あれね、とは言えなかった。初めて聴いたのだった。
バンドの名前と曲名を訊いて、メモしておいた。
"スピッツ 渚"と。
さて、もう一つ、訊くことがあった。
「あの、お母さん。いーえるぴー、って知ってる?」
「いー、える、ぴー」
母の声は私とそっくりだった。
「知らないよね。ごめんなさい。私、そろそろ寝るね。おやすみなさい」
口早に言って、返事を待たず電話を切った。母はいつも最後にいくつか小言を言う。
ごはんは? 学校は? 友達は?
鬱陶しい、と言いづらくて、私は耳を塞ぐ。耳を塞ぎ、口を噤み、早々に布団に潜った。
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