過去ログ - 梓「経線上のアリア」
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15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:50:30.61 ID:kVbbRwGOo

「……お久しぶりです、せんぱい」

 間の抜けたことを私が言った。
 もう、息をもらすのと変わらないぐらいの言葉だ。
 なにかぱっとしたことを言いたいししたいのに、
 頭の中で準備してたことなんて全部吹き飛んじゃう。
 身体中に唯先輩の毒がまわってしまう。
 唯先輩がいる。
 あの人が私に向かって片手を伸ばして、
 「さ、いこ?」って感じで私の手を待っている。

 私は動けないまま、
 五日間ずっと思い描いてた姿と、明るい色の髪の毛と、大きな瞳と、
 私を濡らした唇と、いとおしい指先と、もうそれ以外見えなくなっていて、

 じれったくなった唯先輩が
 私の引いた地面の線上にカバンを落として
 ギターをよっかけると、一気にベンチに踏み込んで、
 勢いのまま抱きしめた。

 唯先輩がきた。
 あずにゃんだあ、本物だあ、
 なんてばかなことを言ってる。

 シャンプーの香りの奥に感じる唯先輩の匂いがなつかしくって、
 毒がまわってくらくらしている私をよそに、
 唯先輩がベンチに登って押し倒しそうな勢いで私のことを
 何度も抱きしめなおして
 あずにゃんあずにゃん言ってる。



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