22:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/05(水) 00:56:35.06 ID:kVbbRwGOo
通りの交差点で、私たちは別れる。
ちょうど市と市の見えない境目があって、
信号の向こうでセブンイレブンの看板が光っている方が唯先輩の住む町だ。
看板の白い光で、陽が沈みかかっていることに気付いた。
もう夜の六時近くだというのに、
雲が去っていたことさえ全然気付かなかった。
夕方になって増えた車のヘッドライトが目にちかちかする。
信号はちょうど赤のまま。
先輩の指は、私の手汗で汚れてしまっているだろう。
帰り道、ここで別れそうになるとき
「今日どうする」なんて聞いてくれたりする。私から言うこともある。
今日はまた仕事で遅いらしいんで、うちで練習でもしていきませんか。
そんな白々しい声を出すようになったのか私は、
と責めさいなむ自分自身を必死で聞き流しながら。
でも、今は唯先輩の言葉がない。
時差ボケで眠いからちょっと会って話してすぐ帰る、
なんて自分から言ってしまったから。
先輩はこういう時、強がる。
年上らしく余裕ぶろうとしてみせる。
だから振り向きもせずに「明日きてくれるかなー?」なんておどけた声を出した。
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