過去ログ - 垣根「最新型冷蔵庫だ」 -SS速報VIP

過去ログ - 垣根「最新型冷蔵庫だ」

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318: ◆5pIIJi2xcTn3[saga]
2015/01/12(月) 19:56:24.95 ID:nItvPqHv0
初春飾利が食べていたのは、パフェ……だった。

迷子を捜すと言っていた小さな女の子は、疲れた様子でぐったりとテーブルに突っ伏している。

迷子の件はどうするのだろうと初春は思っていたが、少女は何も話さない。

以下略

319: ◆5pIIJi2xcTn3[saga]
2015/01/12(月) 19:58:25.70 ID:nItvPqHv0
「うーん、さっきまで確かにこの辺りをウロウロしていると感じたんだけど、何かいつの間にかどっかに行っちゃったみたい、ってミサカはミサカはあまりの徒労っぷりにげんなりしてみるー……」

なんだかなぁ……と、初春が思っていると、少女のアホ毛が再びいきり立ち、少女自身も顔を上げた。

迷子が見つかったのだろうか……いや、どうやら違うようだ。

以下略

320: ◆5pIIJi2xcTn3[saga]
2015/01/12(月) 20:00:13.10 ID:nItvPqHv0
「ちゃんと戻ってくるんですよー」

初春は呆れた目で少女を追っていた……が、少女は店から出る直前に急に立ち止まり、初春に向けて言った。

「……っと、危ない危ない、忘れるところだったってミサカはミサカは冷や汗をかいてみる」

以下略

321: ◆5pIIJi2xcTn3[saga]
2015/01/12(月) 20:02:24.66 ID:nItvPqHv0

パフェの五分の三を食べ切り、いよいよ大型甘味パフェのアイスクリームゾーンに突入した初春だったが、そこで彼女に声をかける『もの』があった。

以下略

322: ◆5pIIJi2xcTn3[saga]
2015/01/12(月) 20:04:17.66 ID:nItvPqHv0
初春「……は？」

冷蔵庫「俺の名前は垣根帝督。人を捜しているんだけど」

初春(いきなり声をかけてきて、名前も聞いていないのに名乗るって、随分図々しい冷蔵庫ですね……って)

以下略

323: ◆5pIIJi2xcTn3[saga]
2015/01/12(月) 20:05:56.63 ID:nItvPqHv0

以下略

324: ◆5pIIJi2xcTn3[saga]
2015/01/12(月) 20:07:59.82 ID:nItvPqHv0
ーーーーーーーーーーーーーーーー

歯垢は、節足に。

唇に付いた生クリームは、薄い白翅に。

以下略

325: ◆5pIIJi2xcTn3[saga]
2015/01/12(月) 20:10:41.87 ID:nItvPqHv0
吐いた、吐いた。とにかく吐いた。甘ったるい匂いが、樹液がたっぷり付いた幹の匂いになるまで、キッチンシンク下の匂いになるまで、私は胃の中のものを吐き出した。

テーブルの上がグチャグチャになった大勢のカブトムシの死体で埋め尽くされた時、私は小さなスプーンがカブトムシの角であること、目の前のテーブルが冷蔵庫であること、そして自分が座っていた冷蔵庫が冷蔵庫だったことに気が付いた。

そのうち、隣にいた筈の冷蔵庫が目の前の冷蔵庫になっていることに気が付いた。

以下略

326: ◆5pIIJi2xcTn3[saga]
2015/01/12(月) 20:13:03.61 ID:nItvPqHv0
私の部屋のいつもの場所に、冷蔵庫はいなかった。

冷蔵庫がいた場所が、キッチンの中でぽつんと浮いているように見えた。

私の、部屋の、いつもの場所に。

以下略

327: ◆5pIIJi2xcTn3[saga]
2015/01/12(月) 20:14:28.81 ID:nItvPqHv0
私は、再び嘔吐した。

自分の目の前の現実が、黒焦げになったカブトムシに見えてくる。

冷蔵庫がいないという現実に。

以下略

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