61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2014/05/01(木) 01:53:17.20 ID:Pc59xujDO
〜 先行組 〜
アルラ1「見つからないの」
アルラ3「急ぐの」
森の暗闇を滑るように移動するアルラウネの一団。
メインの基礎能力が絶望的に低いため、それを補うようBパーツさんはオーパースペック気味に進化していた。
それはそれは優秀すぎるくらいに。
山を超え、谷を飛び、忍者顔負けの技を披露しながら、一団が少女を追い抜いたのは数十分も前のこと。
およそ何度目か、植物に似つかわしくない跳躍力で木々を飛び移りながら、丸い月を背景にいちいち格好いいポージングを一団が決めていた時だった。
アルラウネの一人が心配そうに言った。
アルラ5「あのさ、もしかしてさ、わたしたちお姉さんを追い越してないかな?」
アルラ9「そんなばかなー」
アルラ3「ありえないよー」
アルラ5「だ、だよねー?」
アルラ5「お腹へったし、急ごう」
アルラ7「うん! 急ごう!」
疑問を払拭。
風を切り裂き、カエルのように跳ねながら一団は道無き道を行く。
だがぶっちゃけ、司令塔のアルラウネは命令を下すだけで労苦はBパーツさんに丸投げである。
その主従関係は手綱を握る御者と馬に近い。
つまり逆に言えばBパーツさんがへこたれてきていても、アルラウネが気付かないという事態も起こりうるわけで……
アルラ1「あれ?」
アルラ9「あれれ? Bパーツさんの様子が……」
一同がBパーツさんの不調にやっとこさ気が付いたのは森を抜けた先、山の斜面に差し掛かる頃だった。
あれほど軽快だったBパーツさんたちの動きは、まるで油の切れた機械のようにぎこちない物に変わっていた。
そんな自分ら下半身のBパーツさんを見たアルラウネたちの脳裏に、ある光景がよぎる。
それは暇な時のフルマラソンだったり思いつきで始めたトライアスロンだったりと別々の光景。
だけど例外無く、普段は文句一つ言わないBパーツさんがへこたれた光景でもあった。
アルラウネとして産まれて来た以上、さじ加減を間違えてBパーツさんをしょんぼりさせる経験が一度はあって然り。
びゅうびゅうと風が吹き抜けていく。
無言の間が続く。
やがて、誰かがポツリと、
アルラ9「……やべぇ」
青白い月の光に煙るなかで、先行組のアルラウネたちは立ち往生するハメになったのだった。
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