過去ログ - 少女「のんべんだらりと」
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70:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2014/06/05(木) 01:30:41.51 ID:Cgw/DQ3DO
アルラ7「…………」

 商人と御者が言葉を交わす間、道の真ん中に取り残されるアルラウネ。
 しかし流れ的にはベストだった。
 御者の前に飛び出したことはうやむやになり、アルラウネの存在は夜陰に紛れて二人には気付かれていない。
 このまま商人たちが通り過ぎれば万事オッケーだ。

アルラ7(はやく行けー、なのー)

 Bパーツの内側で目を閉じ、祈る。
 そんな念が通じたか、すぐに真上で御者の声が上がった。

御者「それでは、出発しますよ」

アルラ7(よっしゃ!)

 小さくガッツポーズ。
 逆転大勝利。
 そう、このまま馬車が通り過ぎれば……通り……過ぎれば……

アルラ7「……ん?」

 いやな予感。
 本能の危険察知能力が働いた。
 アルラウネは頭の中で瞬時に状況を組み立てる。

アルラ7「えっと……」

 馬が動く。
 馬車も動く。
 通るのは道。
 道にはわたし。
 ぐしゃー、ふみふみ。

アルラ7「…………」

 Bパーツさんは偉大だ。
 豪傑クマの会心の一撃でさえ内部には一桁ダメージしか通らないくらいに偉大だ。
 もし馬車に踏み潰されても、そのダメージは微々たるもの。
 例えるならば、タンスに小指をぶつけて転げ回った挙げ句、本棚にぶつかり後頭部に辞書の一撃を追加で食らう程度に済む。
 それで難を逃れられるのなら安い買い物だ。
 アルラウネは決断した。
アルラ7「ごめんねBパーツさん!」

 さも当然とばかりにアルラウネはBパーツから緊急脱出した。
 見事な放物線を描き、アルラウネの小さな身体は宙を舞った。


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