過去ログ - 少女「のんべんだらりと」
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78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga sage]
2014/06/07(土) 07:37:05.03 ID:gKa3HPZDO
トレント「それにいくら地面が見えていても、森から山までを裸足で歩いて傷一つ無いというのは……」

 トレントが難しそうにうめく。
 しかし二人の会話は、前方でアルラウネたちがざわめき始めた事で幕引きとなった。

アルラ1「あれ? 何か遠くに見えない?」

アルラ8「明かりがゆらゆらと揺れてる?」

アルラ4「山奥の、寒村」

少女「……っ!」

 はっとして少女は顔を持ち上げる。
 勾配の緩い登り坂となって続いていた山道はそこで区切りを迎え、下り坂となっていた。
 数歩と進めば坂の上から広範囲の景色を俯瞰して見て取れる。
 ささやかな月明かりでは浮かぶ全体像も心細いが、少女がそれを見間違えるはずが無い。
 右の緑眼のサポートを交えれば尚のことである。
 少女の見下ろした先には、断崖絶壁の荒い岩肌を切り崩して無理やり造り上げた、そんな荒涼とした雰囲気の村があった。
 その村の中央、村長の家の門前に揺れるランタンの灯りを遠目に見ながら、少女は呆けたような顔でその喉奥から声を絞り出した。

少女「わたしの、村……」

 薄桃色の唇が、小さく震えた。


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