過去ログ - さやか「もう少しだけ、この優しい夢を…」
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5:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/10(月) 22:23:35.49 ID:MsOnNgYi0
ふと、隣から声がした。
ついさっきまで隣で寝息を立てていた杏子が目を覚ましたらしい。


「あ、ごめん…起こしちゃった?」

「…いや。眠れねぇの?」

モゾモゾと身動きを取る彼女は、布団の中で私の手を握ってきた。

「えっ?な、何…?」

もしかして寝ぼけているのだろうか…。
焦る私とは裏腹に、彼女はそのまま何をするでもなく、ただ自分の手を優しく握るだけだった。

「…杏子?」
「泣いてる気がしたから」

さやかの声と被るように、彼女はやっと口を開いた。

「…さやか、どこにも行かないよな?」

雨音に掻き消されそうな程に小さい呟きは、確かに私の耳に届いていた。


『胸糞悪くなる夢を見たんだ。』
『あんたが死んじまう夢を』

いつか聞いたあの言葉が、今更ながら胸に深く突き刺さるような、そんな気がした。

「…大丈夫だよ」

そう言って、彼女の小さな手をそっと握り返す。
今の自分には、それが精一杯。


「ここにいるから」


ー今だけは、この優しい夢に浸っていたかった。


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