過去ログ - 上条『異能の力なら、どんな幻想だってぶち殺して見せる』
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194:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/13(木) 19:12:43.50 ID:a2xbEWtP0
「地球上では、厳密に定義された時間に比べ、1秒当たり100億分の7秒遅なる。
では黒桐、そのバーチャルルームそのものにかかる重力さえ、この街の科学技術で操作できるとしたら?
早い話、重力加速器なんてものを用意し、それによって部屋全体にかかる重力そのものを百億倍に出来るとしたら?
―――――ほら、厳密に定義された時間と比べて、既に七秒も遅れるじゃないか。つまりそういうことだろう」

「待ってください橙子さん、それって、その空間内にある物や人にかかる重力も百億倍になるってことですよ?
そんなことをすれば、どんなものだって一瞬でひしゃげてしまうんじゃ―――――」

「そう、そこなんだ」

ふう、と煙を吐き、不満げな顔をする。

「まさか特殊相対性理論に沿ってバーチャルルームそのものを光速に近いスピードで飛行させ、
宇宙中を旅させて戻ってきて『ウラシマ効果』にしたとは考えにくい。
となれば一般相対性理論に基づいて今いったような議論になるわけだが、先もいったように、私は科学には精通していないんだ。
ただでさえそれなのに、この学園都市の技術は外界よりも遥か彼方までその技術が進んでいると来た。
だからその先は私達では分からない事だよ。どんな理屈で時間を遅らせていたんだかな。
そうだな、木原とかいう気違い科学者集団にでも聞けばわかるんじゃないか」

そうですか、と返すしかなかった。いや、もう一つ可能性がある。昨年起きた戦争以来、
世界に魔術という得体のしれない力の存在が知れ渡った。
橙子さん的には、魔術教会の存在とそれに準ずる魔術の世界が崩壊したわけではないので
私たちには何も関係がないという。しかしやっぱり複雑な話で、魔術自体が疎遠な僕には
何がだめ、何がいい、それはこういう理由、だとかは全く理解できないけれど。
とにかく学園都市でも、魔術を科学的に研究している可能性はないとは言い切れない。

「では、魔術的に説明はできないんですか?」

「出来なくはない。魔術師達の世界においては最大級の奥義であり、禁忌であり、魔法に限りなく近い魔術――――
固有結界、と呼ばれるものがある。こいつは魔法の類の中では比較的容易だから、魔術の到達点のひとつとされている。
この魔術の一種に、時間操作があるんだ。基本的に元から存在している物に手を加える事によって形成される通常の結界と異なり、
使い手の心象風景を形にして現実を塗りつぶし、世界その物を作りかえる。
言うなれば、特定の空間を丸ごと別の空間と入れ換えてしまうようなものだな。
なるほど、重力をかけなくとも、戦闘を行う場所のみバーチャルで再現し、バーチャルルーム全体をおおうように
固有結界を張ってやれば、確かに矛盾なくこの事は説明できる。だが黒桐、私の知る限り今現在この魔術を扱えるものはいないんだ。
なにせ、結界を最も得意とする荒耶でさえこの魔術には到達し得なかったんだからな。
それなのに、つい最近魔術の存在を知ったような世界の一部でしかないこの学園都市に、そんな大魔術を使える者がいると思うか?
世界を探したっているかいないかわからんぞ、こればっかりは」


矛盾を解消できても、それをなす事が出来る者がいない。
本当にいなくて、科学の力だけで矛盾を解消したのか、それとも実際はこの学園都市にそれが出来る魔術師がいて、
この実験に何らかの理由で加担したのか。それは、橙子さんのいうように、僕たちでは分からないのかもしれない。




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