過去ログ - 男「幸福の希求」 -SS速報VIP

過去ログ - 男「幸福の希求」

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17: ◆FgqlyWni4.[saga]
2014/03/27(木) 14:37:58.98 ID:djFHbZUgo
ガイド「わかりましたか？」

ガイド「まず、『幸せ』……棒状のクドクを、カプセルの端に設けられた凹面にセットする」

ガイド「するとカプセルが自動的に開く」

以下略

18: ◆FgqlyWni4.[saga]
2014/03/27(木) 14:39:33.42 ID:djFHbZUgo
カプセル＜ﾌﾟｼｭｩｳｩｩ

男「！」

男「……カ、カプセルの中に急に立ち込めた、その、雲みたいなものは？」

以下略

19: ◆FgqlyWni4.[saga]
2014/03/27(木) 14:57:08.83 ID:djFHbZUgo
男「……ほ、本当に何をしていても、幸福を感じるんですか？」

ガイド「ええ、何をしていてもそうです。満ち足りてるって言えばいいのかな？
　　　　自分からは新しく何一つ欲しいと思わない。只々、充足してるんです」

以下略

20: ◆FgqlyWni4.[saga]
2014/03/27(木) 14:58:23.40 ID:djFHbZUgo
男「でも、何をしたって得られる幸福が同じなら――」

ガイド「いやいや、同じじゃありません。人によって、幸福は幸福でもその濃度が違います。
　　　　善行を積んだ者、技能に優れた者……そういう差はちゃんと反映されます」

以下略

21: ◆FgqlyWni4.[saga]
2014/03/27(木) 15:00:09.62 ID:djFHbZUgo
男「…………そうかも、しれませんね」

男「だけど、じゃあ善行を積んだ者はどうやって判断するんですか？
　　まさか自己申告とかじゃありませんよね？」

以下略

22: ◆FgqlyWni4.[saga]
2014/03/27(木) 15:01:48.61 ID:djFHbZUgo
ガイド「善行を行った者にはポイントが加算され、
　　　　一定を超えた場合はより高濃度の幸福が詰まったクドクが配給される」

ガイド「もっともそれは、現状に満足している我々にとっては半ばどうでもいい話で、
　　　　本当に重要なのは何か風紀を乱したり、作業への参加意欲が薄かったときの処分ですね」

以下略

23: ◆FgqlyWni4.[saga]
2014/03/27(木) 15:02:54.54 ID:djFHbZUgo
ガイド「どうかなさいましたか？　随分と険しい表情をしておられますが」

男「ど、どうかしたどころの話じゃない！」

男「いくら幸福だといったって、それじゃ自由なんてどこにもないじゃないかっ！」

以下略

24: ◆FgqlyWni4.[saga]
2014/03/27(木) 15:04:00.91 ID:djFHbZUgo
ガイド「ですが私たちは、自ら選んでクドクを使用していますよ？」

ガイド「私は模範的な一人民です」

ガイド「生まれてこのかた、クドクの純度を増したことはあれど、差し止められたことは一度もありません」

以下略

25: ◆FgqlyWni4.[saga]
2014/03/27(木) 15:05:23.09 ID:djFHbZUgo
ガイド「けれども、クドクさえあれば、あらゆる全てが私に幸福を与えてくれます。
　　　　そう、人生が文字通りバラ色に変わるのです」

ガイド「クドクによってみんながいつも幸せになれるのだから、これは素晴らしいことだとは思いませんか？」

以下略

26: ◆FgqlyWni4.[saga]
2014/03/27(木) 15:06:02.89 ID:djFHbZUgo
ガイド「加えて、映像及び音声記録送信装置が周囲にある中生活するのが嫌だ、
　　　　と言う人のための場所も確保されています。
　　　　実際それほど多いわけではないですが、そういう場所で、クドクを断ち生きようとする若者も時々いる」

ガイド「しかし、我々模範的な一人民には関係のない話です」

以下略

27: ◆FgqlyWni4.[saga]
2014/03/27(木) 15:07:41.97 ID:djFHbZUgo
ガイド「長期間クドク断ちをした若者たちの行動の記録、そして歴史的な知識として、
　　　　クドクを使用しない人間の生活というモノを、私は知っています」

ガイド「それに比べて我々の生活ときたら、客観的に見てなんと素晴らしいことか」

以下略

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