過去ログ - 海未「誕生日に菊の花を貰ってしまいました」
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11:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/15(土) 01:18:02.43 ID:GSBZbNEV0
「えーと、確か……」

ことりはポケットからスマホを取り出すと、Siriを起動させる。

「花言葉!」

ことりの明るい声に、軽快な音で応えると、Siriは広大なネットの海から花言葉について引っ張り出してくる。

やがて花言葉検索サイトが引っ掛かり、ことりは満足そうに笑みを浮かべた。

「あー、あー、あー……」

ことりは自分が海未に抱いている気持ちを、花言葉にのせて告白しようという考えだった。

画面を指でなぞりながら、花言葉を探していく。

〔あなたを心から愛します:オオギク〕

ふと、一つの言葉が視界に飛び込む。

回りくどい表現なんかなく、ただストレートに自分の気持ちを訴える言葉。

心からの、愛。

「これにしよう……!」

ことりは今まで悩んでいたものがさっぱり綺麗に解決して、嬉しくなった。

オオギクのプリザーブドフラワーを海未に渡して、それと一緒に、この気持ちを伝えよう。

海未なら、きっと気持ちを無碍にはしない。
もし振られてしまっても、それはとても悲しいことだけれども、でも、気持ちを伝えたかった。

生まれてきてくれてありがとう、あなたに会えてよかった、だって私はあなたを心から愛しているから――。

ことりは悩みが吹っ切れて、ひまわりの様な笑顔を浮かべる。

「お嬢さん、オオギクのプリザーブドフラワーをお探しかい?」

「ちゅん!?」

唐突に、それはもう唐突に。頭の結った鶏冠の様な髪が空を肉薄するほどに飛び上がり、ことりはおかしな悲鳴を上げた。

恐る恐る振り向いたことりの目に入ったのは、杖を突いて歩く、お年を召したおじいさんだった。

「か、勝手にお邪魔してすみません! わ、私、南ことりと申します! その、お花があまりにも綺麗だったので、つい……」

「ええんじゃよ。お嬢さん、誕生日プレゼントかい?」

おじいさんは優しげな笑みを浮かべ、ゆっくりとことりの方へ向かってくる。
おじいさんの笑顔に安心したことりは、はい、と大きく頷く。

「そうかいそうかい。どんな花にも意味はあって、臆病な人の心を代弁する、とっても優しいものなんじゃよ」

「え……」

ことりはなんとなく心の内を見透かされたようで、少し驚いた。

「お嬢さん。誕生日を祝うという事はとても素晴らしい事じゃ。相手方も必ず喜ぶじゃろう。お嬢さんの様な可愛らしい人に祝ってもらえるのだから、のう」

笑顔を浮かべるお爺さんに、ことりは困惑しながらもお礼の言葉を引っ張り出した。

「あ、ありがとうございます?」

「ほっほっほ、礼には及ばんよ、お嬢さんや。これは恩返しじゃ」

恩返し――? ことりがそう問い返そうと口を開こうとして、お爺さんがそのまま先に口を開く。

「花はあくまで背中を押すことだけじゃ。お嬢さんが前に進むかどうかは、お嬢さんの意思じゃよ」

ことりは聞き覚えのある言葉にハッとする。

「その言葉、穂乃果ちゃんが――」


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