過去ログ - 海未「誕生日に菊の花を貰ってしまいました」
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4:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/15(土) 00:34:12.25 ID:GSBZbNEV0
「こいつ、足に変なキズがあるぜ!」

「!」

小学生の体育の時間だった。
まだ穂乃果とも海未とも知り合ってもない頃。
少し悪かった足がやっと完治して、体育にも参加し初めてすぐの頃。

少しだけ引きずって歩くしかなかった左足は、ひざの裏側に生まれた、三センチぽっちの手術の傷跡と引き換えに完治したのだった。

喜んでいたのもつかの間。
今度はその三センチの傷跡が気になっていたことりは、ロングスカートやロングワンピース、とにかく膝が隠れるような長い丈の服しか着なかった。

ところが、体育の時間に着用する指定の体操服は半ズボンで、脚の膝を隠すほどの丈はなかった。
そして、その傷を見つけた複数の男子生徒は、いい玩具を見つけた、と言わんばかりにことりを囃し立てた。

授業中だったこともあり、先生の一喝でその場は収まったが。本当にことりにとって辛かったのは、その日の下校中だった。



「やいロボット! おまえ、カイゾウシュジュツを受けたんだろ!」
「ロボット南! へーんだ!」

「ち、違う……ことりは……」

下校途中の商店街の外れで、一人になったところを四、五人の男子生徒に囲まれて、一斉に囃し立てられたのだ。
転校したての少女にとって、この恐怖は計り知れないだろう。

「ロボットが何か喋ってるぞ!」
「あはははははは!」

ことりにとってこれほど怖かったことはなかった。辛いこの一瞬が永遠の様にも思えた。

目の前に見える少年たちが悪魔の様に思えて、恐怖と緊張にことりは染まり上がっていた。

「やいロボット! ロボットならなぐられても痛くないよな!」

「い、いや……らんぼうしないで……!」

男子生徒が拳を振り上げる。
殴られる! そう感じたことりは必死で顔を覆った。

そしてすぐに、ことりの耳には拳が頬を捉える音が飛び込んで来て、それと同時に耳をつんざく悲鳴が、沈黙を好む商店街の外れに響き渡った。


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