過去ログ - 海未「誕生日に菊の花を貰ってしまいました」
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9:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/15(土) 01:08:34.02 ID:GSBZbNEV0
スピカテリブル、という造語がある。

スピカ、とはおとめ座の事で、テリブル、とは恐怖の事だ。

恋をする 乙女が抱く 恐怖心 という日本語にでも訳せようか。

詩人園田海未は、ことりのソロ曲スピカテリブルにこういう歌詞を書いた。


私の今…未来…あなたにある
願いがはじける
言えないよ けど消せないから
扉を叩いて
開けて欲しいの…でも…こわいのです
ひらくのがこわい
まだ見ぬ夢が醒めぬようにと怯えてる
星のテリブル


ことりはこの歌詞に驚いて、海未に思わず聞いてしまった記憶がある。

――海未ちゃん、これ……!

――ふふ、驚きましたか? ことりがもし、誰かに恋をしたら、こんな切ない想いを考えそうだな、と考えて作詞したのですが……どうですか?

――え! あ、う、うん、凄いよ海未ちゃん!

ここまでことりが抱く針の様な想いを言いあてられる癖に、何故一番肝心なところを気付けないのか。
ことりは強力な脱力感に襲われたことを覚えている。



そんなある日の思い出を抱きながら、ことりは春を目前に控えつつも、まだ少し冷たい風に身を震わせながら、行き慣れた商店街をうろついていた。

「誕生日プレゼント、どうしようかなぁ」

穂乃果とスカイプで話した結果、遂に告白に踏み切ったことりだったのだが、とある問題を抱えていた。

それが何をプレゼントするか、である。かれこれ十年間も祝い続けて入れば、ネタ切れになるのも致し方なかった。

穂乃果と海未に至っては、生まれてから毎年プレゼントを欠かさず交わしていた。
五年くらい前からは、誕生日以外の日に遊びに出掛けた時にプレゼントを選びあいっこするという、サプライズとは真逆の位置に存在する、お互いの習慣になっていた。

ことりの記憶で特に面白かったのは、プレゼントのネタ切れに困り困った穂乃果と海未が、互いの為に自作の「抱き枕」を作った時だった。

二人ともなぜか恐ろしくハイテンションで、ことりがおいてけぼりになるほどだったのを、よく覚えている。

あれほどはっちゃけた海未をことりは二度も見たことはない。

抱き枕の結果から言えば、海未のそれは比較的まともにできた。
そして問題の穂乃果が作った抱き枕は、何故か二メートルを超える大作となり、穂乃果も海未も作ることに一生懸命で、用途なんてどうでも好さそうだったのが記憶に濃い。

挙句の果てには、穂乃果が海未の抱き枕にお茶をこぼしてしまい、海未のナニの場所が良い感じに湿り気を帯びて、少しエロティックになった事だった。

ことりの一生の中で、これほど酷い誕生日はこれからも出会うことはなさそうだった。
けれど、大笑いする穂乃果とちょっと怒りながらも楽しげな海未を見て、ああ、この二人は本当に恋愛も友情も関係なく、特別なんだなぁ、と感じたのだった。

「あの二人は、親友とか幼馴染とか、そういう関係より一歩上だよね」

言葉では決して言い表せない、しかし感覚としてはしっくりくる関係。
それが高坂穂乃果と園田海未という二人だった。


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